大気海洋相互作用の研究

地球表面の約7割を覆う海洋は熱や水蒸気の供給源として,大気循環や気候の形成に大きな役割を果たしていると考えられています.エルニーニョに代表される熱帯域の変動や大陸内部に大量の降水をもたらすモンスーンなどの現象は大気海洋相互作用が大きく関わる特徴的な事例です.近年になって,日本の近海を含む中緯度の海洋も大気の変動に対して影響を与えることがわかってきました.しかし,その全容はまだ未解明な点が多く,中緯度大気海洋相互作用に関する研究は観測的なアプローチでもモデルによる数値実験のアプローチでもチャレンジングなテーマと言えます.

本コースは大気科学(気象学)と海洋物理学を専門とする教員・研究員・大学院生から構成されているので,大気海洋相互作用に関する研究を実施する上では類をみない充実した研究と教育を進めていると自負しています.


(左図)黒潮・黒潮続流では暖水上(冷水上)で海上風速が速く(遅く)なっている.コーヒーに息を吹きかけて冷ますように,通常は速い風速は水温を冷やす.これとは逆の関係を表す観測事実は,暖かい水温から速い風速への影響,つまり海洋→大気への作用を示唆している.

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(右の図):一般に風速は上空ほど速い.暖水上では大気が下から加熱され鉛直対流が盛んになるため,上空の大きな運動量が海上風を加速する.冷水上では大気への加熱が小さく,鉛直混合による加速も小さいために風速は弱い.
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参考