海氷の科学

海氷の特性とその気候へのインパクト

海氷は、以下のような3つの特性をもって、大気—海洋(もっと大きく言うと気候)システムに大きな影響を与えると言われている。

  1. 高アルベド(日射に対する反射率が大きい)
    海氷は、通常白い雪が載っているため、日射の6〜7割を反射する。これに対して、海水は黒っぽいため日射の1割しか反射しない。いったん海氷が増えると多くの太陽エネルギーを反射するため寒冷化させることになり、寒冷化すると海氷がさらに増えるという正のフィードバックが働くことになる。このように海氷は、ある地域ひいては地球の気候を大きく変える可能性がある。

  2. 大気—海洋間の断熱材
    海氷は断熱材として働き、大気と海洋間の熱交換を大きく抑制する。従って、海氷の有無・変動は海洋・大気間の熱輸送に大きな影響を与える。これもよっても正のフィードバックが働く。

  3. 熱と塩の再分配・輸送
    海氷生成の際に高塩分(従って高密度)の水(ブライン)が排出され重い水ができるため、それが海洋の底層や中深層に潜り込む。地球上の海の中深層に占める水のほとんどが、海氷ができるような極域で作られたものである。この水の出来具合が変ると地球規模の海洋循環も変って気候が大きくシフトすると考えられる。

参考

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