「大気と海洋に関するスプリングスクール2014」を終えて

谷本 陽一
スプリングスクール事務局 代表
大気海洋物理学・気候力学コース 教授
スプリングスクール2014のポスター (大きいサイズの画像)

2014年3月3日(月)から6日(木)にかけて,「博士の卵と一緒に体験:大気と海洋に関するスプリングスクール2014」を北大札幌キャンパス・環境科学院にて開催しました.

このスプリングスクールでは,タイトルにあるように,博士課程・修士課程の大学院生が主体となって学部3年生向けの体験的な実習のプログラムを組んでいます.3年生にとっては「研究活動を体験する」機会,大学院生にとっては「これまで研鑽してきたことを伝え教える」機会としています.

体験コースは以下の2コースから選択するようにしました.

  • コースA:低気圧とジェット気流をシミュレーションしてみよう
  • コースB:深海の流れを実験で作ってみよう

コースAの様子

コースAでは,天気予報にも使われる大気大循環モデルをシンプルな実験設定のもとでシミュレートする体験をしました.使っているコンピュータはちょっとだけ速めのPCです.初期には静止している等温の大気に対して,熱帯を暖め,極域を冷やすことを進めていくと,数十日後には偏西風が形成され,さらに時間がすすむと低気圧が見えてきます.

コースBの様子

コースBでは,斜面をもつ水槽に淡水を満たし,そこに数パーミル程度の塩分を持つ水を流して,水槽の中に深海へと向かう海の流れを作ってみました.このとき,流れを可視化する方法として,塩水に食紅(”紅”というが,緑,黄も使った)を混ぜたり,レーザー光が反射するように水と同じ密度持つナイロン粒を混ぜたりして,流れを観察しやすくしました.

どちらのコースにおいても,参加者はとても積極的で,予想以上に熱心に取り組んでくれました.参加者の意欲が高かったことに加え,大学院生による準備が丁寧に練り上げたものだったことが,相乗効果として大きな盛り上がりになったと思います.

参加者による感想としては,もっと考察する時間が欲しかったという意見が目立ちました.限られた期間でどのようなスケジュール組むか,来年以降の開催によく検討したいと思います.

参加者は東北大,お茶の水女子大,首都大学東京,立命館大,福岡大の学部3年生の7名で,文字通り全国の国公立私立の大学から参加してもらえました. 高専専攻科にも周知しましたが,残念ながら参加希望はありませんでした.高専の春季休暇の時期などが影響していたかも知れません. 参加にあたり宿泊費は全額支給(宿泊先指定)でしたが,フェリーやLCCなどを活用して札幌まで来てくださったことを感謝したいと思います.

遠足のひとコマ

最終日には希望者を募って,滝野すずらん公園にスノーシューハイキングに行ってきました.少々風が強い中,ときおり晴れ間も見え,雪国のアウトドアを楽しんでもらえたと思います.

スプリングスクール2015も開催の意向です.最初のアナウンスは2014年後期となりますが,もし,ご質問があればeoas_info@eoas.ees.hokudai.ac.jpにお知らせ下さい.

スプリングスクール2014関連のwebページはこちらです. http://wwwoa.ees.hokudai.ac.jp/springschool/2014/springschool_home.html

2014年3月17日