大気海洋物理学・気候力学コースの特色

全国から広く学生を募集します

環境科学院は、学部をもたない独立大学院です。大気海洋物理学・気候力学コースは、独立大学院の強みを活かし、これまで気象学や海洋物理学といった地球科学を学ぶ機会のなかった人たち、とくに全国の理系学部の学生さんに広く門戸を開いています。

国内最大規模の教員陣

本コースは、気象学、海洋物理学、気候力学、大気・海洋相互作用、大気・海洋・海氷相互作用などを専門とする15名の教員を中心に構成されています。これは、気象海洋の分野では国内最大規模です。 本コースの教育は、地球環境科学研究院に所属する教員と低温科学研究所に所属する教員が一体的に行います。詳しくは本コース担当教員についてのページや低温研の大学院案内のページをご覧ください。

多様な手法と多様な研究対象

本コースの教員は、現場観測から、衛星観測、データ解析、コンピュータシミュレーションや解析理論に至るまでの、多様な手法で、多様な研究を行っており、 アウトドア派の人から書斎派の人まで、学生各人の適性や好みに合った研究課題が選択可能です。

基礎からの丁寧なカリキュラム

本コースでは、他分野からの入学者が多いことを踏まえ、出発点においては物理学と数学の基礎知識のみを前提とし、それ以外の部分は講義や演習を通じて教育します。カリキュラムは、全体として必要な共通の基礎と、概論的な知識から専門的な事柄へと進みます。基礎が正しく理解できていれば、一見異なる多くの事柄を同様に考えることが可能となります。研究を行うには狭い範囲に対する深い理解と知識が必要ですが、これらの授業を通じて、このコースの他の学生や教員と広く、ある程度以上の専門的な会話ができるようになることが期待されています。会話が可能であるというのは相互作用の要件であり、一見異なるものの中の関連性を見つけていくことが多くの場合学問の発展に繋がります。

北海道の環境を活かした野外実習

北海道は、中緯度に属しながら、オホーツク海という凍る海に接しており、四季の変化に富む、観測実習に適した環境にあります。本コースでは、ゾンデを用いた気象観測および、忍路やサロマ湖などでの海洋・海氷観測実習を行っており、それらを通じて学生のみなさんに観測の楽しさ、自ら得たデータを解析する興奮を知ってもらいたいと考えています。

豊富な計算機演習

手法を問わず、現代は計算機を駆使して研究をすすめる時代です。本コースは独自の計算機端末室をもち、Linux環境の使い方を手はじめとして、プログラミング、データ解析、数値計算法まで、さまざまな演習を用意しています。また、研究も、個人用パソコンから、研究室ごとのワークステーション、コース共有のサーバ類、さらに必要であれば学内のスーパーコンピュータまでの、充実した計算機環境の中で行えます。

基本方針

ガイダンスで用いる資料をここで見ることができます。 2026年度版

本コースは、大気物理学、海洋物理学、気候力学、大気・海洋相互作用、大気・海洋・海氷相互 作用を専門とする多くの教員を中心に構成されています。 この内、数名は他専攻もし くは他コースと兼務ですが、コースの教育にはコース専任の教員と同じように参加します。 従来の多くの教育研究機関では、大気と海洋はそれぞれ別々に研究と教育がなされ、学会等も別々で すが、力学的基盤 (両者とも回転球面上の成層流体である) も研究手法 (理論手法、データ解析法、 数値計算法) も共通しており、さらに、我々の世界の全体像を捉えるには大気と海洋を分けることは出来ません。 本コースでは、大気と海洋の物理学およびそれらを基礎とする気候変動・変化の力学全体の理解を目指して、これらの教員が協力し合い、整合した教育を展開します。 本コースでは、他分野からの入学者が多いことを踏まえ、出発点においては物理学と数学の基 礎知識のみを前提とし、それ以外の部分は講義や演習を通じて教育します。 カリキュラムは、全体として必要な共通の基礎と、概論的な知識から専門的な事柄へと進みます。基礎が正しく理解できていれば、一見異なる多くの事柄を同様に考えることが可能となります。 研究を行うには狭い範囲に対する深い理解と知識が必要ですが、これらの講義を通じて、このコースの他の学生や教員と広く、ある程度以上の専門的な会話ができるようになることが期待されています。 会話が可能であるというのは相互作用の要件であり、 一見異なるものの中に関連性を見つけていくこと が多くの場合学問の発展に繋がります。 大気海洋物理学・気候力学コースという多くの教員・学生を有するグループの一員であるという意識を持って、多数の教員・学生と広く相互作用しながら実り多い学生生活を送っていくことを期待しています。 また、このような高い専門性と共通理解に基づく会話可能な広い裾野構造はこの専攻の基調でもあり、所属コースの専門性とコースを越えた広い分野に関心を持つことが望まれます。

指導教員の決定

本コースでは、入学後、すぐに修士研究の指導教員が決定することはありません。 まず基礎的な事柄やこの分野の概略を学びます。 その後に、自分の興味と適性を考え、修士研究の指導を仰ぐ指導教員を自分達で選択して貰います。 その具体的な手続きとしては以下のようなステップになります。
  • 6月半ばまでに、各教員の研究分野、教育に対する考え方、受け入れ可能学生数等を書いた資料を配付します。それをもとに学生諸君は自由にいろいろな教員の話を聞きに行きます。
  • 7月後半に、上の資料並びに各教員の話、先輩からの情報等をもとに指導教員の選択をしてもらいます。なお、一人の教員が指導できる学生の数には限界がありますので、みなさんの志望の結果次第では人数調整が必要なときがあります。この人数調整も含め、この選択の一切は、学生側で話し合ってやってもらいます。
  • 8月以降、専門的な勉強を進めていった結果、指導教員を変更したくなった場合には、受け入れ側指導教員の承諾が得られれば何時でも変更してよいとします。
なお、指導教員を一人に決めたといっても、教員自身も専攻内外の教員・研究者と協力関係にあり、必ずしも一人の教員の指導を受けるということにはなりません。また、指導教員の選択の後も、学生諸君が自分で考え、積極的に多くの教員の話を聞くことを我々は奨励します。どの教員も扉をノックしさえすれば答えてくれるはずです。

修士論文一覧

当コースの最近の修士論文題目のリストです。

2024年度

芋生 岳史  「漂流フロートから得られたウェッデルジャイア東部の流動構造」
大畑 茉滉  「オーストラリア-南極海盆における塩分経年変化の要因」
小野澤 健人 「日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ) の日変動」
清永 敦志  「日本上空の下部成層圏循環の特徴と変動」
熊谷 侑輝  「東南極リュツォホルム湾とその周辺域における海洋構造の時空間変動」
佐藤 匡   「2014 年 9 月の胆振地方における集中豪雨の研究」
清水 雅矢  「夏季の東アジア域における降水量変動に及ぼす対流圏内の水蒸気輸送の特徴」
田口 尚征  「チベット高原が東アジア夏季モンスーンに与える影響」
中辻 慶輝  「都市境界層における運動量輸送に寄与する乱流の構造」
中村 充喜  「可視光による蒸発量の全球推定と大気海洋系への影響」
橋爪 里瑠  「黒潮及び黒潮続流の 10 年規模変動と日本沿岸潮位変動」
町田 柾志  「南極底層水形成域ケープダンレー沖での海洋・海氷変動:暖水流入・定着氷との関係」

2023年度

大谷 若葉 「西グリーンランド域の領域海洋モデル開発-大西洋起源水変動及び氷河融解変動の理解-」
島田 岳登  「アムンゼン海/べリングスハウゼン海への周極深層水の流入と風の関係について」
庄子 竜生 「台風発電帆船の気象に応じた運航と実現性の検討の基礎」
高野 響生 「サハリン島南端における冷水の湧昇メカニズム:海底境界層の効果」
高野 茉依 「日本海上における筋状降雪雲の日変動」
張 策   「偏東風波動によるとされる台風発生の特徴」
中田 英太朗 「人工衛星観測に基づいて解析された海面水温データの台風状況下における誤差分布」 
永瀬 絵理 「南極ケープダンレー沖での高密度水生成から底層水形成に至る過程」
林 大祐   「南極沿岸起源の海氷の行方」
前野 将人  「混合層モデルを用いたコスモノートポリニヤの生成機構の解明」
三浦 樹  「Two-way teleconnectionsの理解に向けた海面水温偏差場に対する大規模大気循環場
       の応答」
森下 怜  「南極アデリーランド沖における沿岸海洋構造と底層水特性の変化機構」
森島 舜  「海洋データ同化に基づく水循環変化の研究」
森吉 紘己 「ウェッデル海域の領域モデル構築」
若尾 和哉 「九州地方における強雨域の空間的特徴と近年の増加要因の解明」

2022年度

伊藤 佳樹 「機械学習を用いたシベリア域の森林火災の発生件数と焼失面積の予測」
岩田 啓杜  「南極海の海流に着目したCMIP6解析」
植田 純生 「北海道オホーツク海陸棚の海底混合層・高濁度水とその行方」
小川 直斗 「東シナ海上の停滞前線に伴う大雨に見られた日周期変動の研究」
クォック ジョミー 「Annual and inter-annual variations of tropospheric
           ozone in Sapporo - the role of transport in the springtime
           peak 
          (札幌における対流圏オゾンの季節変動と年々変動)」
権藤 駿  「東南極サブリナ海岸沖における淡水輸送」
佐藤 広夢 「春季データから見積られる、南大洋における海氷融解量の分布とその変動」 
髙瀬 拓海 「金星探査機あかつきを用いた金星雲層における筋雲に関する研究」
田中 陸渡  「観測データに基づいたノルディック海におけるPolar Lowー海洋間相互  
       作用の研究」
豊木 崚平 「気球搭載雲粒子測定器CPSとCloudscopeの同時飛揚による検証」
成田 健志  「南極エンダービーランド沖における秋季亜表層暖水の時空間変動」
仁木 正義 「機械学習を用いた日本の都市部におけるPM2.5の動態変動予測手法の開発と検証」
藤本 海  「海面熱フラックスデータに基づく南大洋の海面熱吸収変化とその要因」
本田 茉莉子 「オホーツク海における海氷の融解量及び熱塩輸送量の推定」
宮田 愛美 「外部強制による地表気温応答の季節別地域特性の推定とその評価」
安井 翼   「全球同化モデル(ECCO-LLC270)を用いた南極沿岸流(ASC)についての研究」
王 碧茹   「Development of aerosol origin model and its applications to the 
       analyses of transboundary air pollution events
      (エアロゾル起源モデ ルの開発と越境大気汚染事例解析への適用)」

2021年度

臼井 知輝  「NPZD Fe鉛直一次元モデルを用いた南部オホーツク海の生態系の再
             現および応答」
内田 弘信  「晴天乱気流による航空事故の際の気象場の解析」
大嶋 護    「超音波流速計 ADCP による海中浮遊物の識別手法開発とその応用」
川村 容明  「寒気吹き出しに直交する走向を持つ日本海上の筋状降雪雲の研究」
加藤 陸    「森林キャノピー内における圧力変動と乱流速度場の関係」
神田 晴哉  「過去60年間の日本海側における積雪の経年変動の研究 」
小松 瑞紀  「春季データから見積られる、南大洋における海氷融解量の分布と
             その変動」
澤 貴仁    「アラビア海西岸の沿岸湧昇域における海面水温の1年サイクル変動と
             年々変動に対する海洋波動の影響」
白井 美彰  「水蒸気起源に着目した北東アジアの夏季降水量変動に関する研究」
武田 歩夏  「極低気圧の将来変化について」
出口 洋海  「太平洋・インド洋における気圧変動に含まれる外部変動の評価方法
             及び、経年スケール変動の長期変調解析への適用」
成田 健志  「南極海エンダービー海盆から沿岸域への表層熱輸送過程」
丹羽 修二  「海洋成層状態に見られる長期変動と地球温暖化による影響」
平田 駿樹  「何が棚氷の形を決めるのか?~超高解像度海洋モデルを用いて~」
柳原 脩臣  「観測システムシミュレーション実験による、台風内部コアの風速が
             データ同化に与えるインパクトの研究」
八幡 大睦  「台風によってもたらされる晩秋の降雪に対する海面水温の影響」
山下 裕大  「室内実験による海氷granular iceの特性に関する研究」

修士論文発表会と松野賞について

発表会など

大気海洋物理学・気候力学コースでは、M2の前期に修士論文所信表明を、後期に中間発表をコース全体で行っています。修士論文提出にひきつづき、毎年2月に地球圏科学専攻全体で最終発表会を行い、院生のみなさんの優れた研究成果が公表されます。

松野記念論文賞

松野記念論文賞は、かつてここに在籍しておられた松野太郎教授が学士院賞を受賞された際にご提供いただいた賞金をもとに設けたもので、各年もっとも優れた修士論文に対して送られます。 過去の当コース(およびその前身の大気海洋圏環境科学専攻)のすべての発表会プログラムと各賞受賞者はこちらからご覧になれます