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第 390 回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ
日 時: 9月 5日(木) 午後 15:00 - 16:30
Date : Thu., 5 Sep. 15:00 - 16:30
場所 :環境科学院 1階 D101
Place:Env. Sci. Bldg. D101
発表者: 今田 由紀子(東京大学 大気海洋研究所/ 准教授)
Speaker: Yukiko Imada (Atmosphere and Ocean Research Institute, The University of Tokyo / Associate Professor)
題目:日本のローカルな大雨の長期予測可能性とグローバルな海洋の内部変動の役割
Title: Long-term Predictability of Localized Heavy Rain Events in Japan: Investigating the Influence of Global Oceanic Internal Variability
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日本のローカルな大雨の長期予測可能性とグローバルな海洋の内部変動の役割
Long-term Predictability of Localized Heavy Rain Events in Japan: Investigating the Influence of Global Oceanic Internal Variability
発表要旨:
近年、 豪雨災害が 日本国内で多大な被害をもたらしているが、このような局所的な豪雨の発生確率を数カ月先まで予測することは、これまで困難であるとされてきた。その理由の一つとして、豪雨の発生に重要な循環場は中緯度域の大気ノイズに大きく影響を受けることから、S/N比が低くなることが挙げられる。また、局所的な豪雨にはメソスケールの降水システムや地形など、一般的に季節予測で用いられている気候モデルでは再現が難しい細かいスケールの要素が重要となってくることも、予測が難しい理由の一つである。 本研究では、「地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)」の地域気候モデルNHRCM(水平解像度20km)による100メンバーの過去再現実験の結果を用いて、東アジアで発生する局所的な大雨の頻度を対象に、季節予測のスキルの上限値となる潜在的予測可能性を見積もった。豊富なアンサンブル数は大気ノイズの除去に有効であり、また高解像度のダウンスケーリングにより詳細な地形や降水システムが表現されるようになるため、潜在的予測可能性の改善が期待される。解析の結果、特定の領域や季節において、高い潜在的予測可能性が検出された。それらの予測可能性の源を調べるため、d4PDFの全球モデルMRI-AGCM3.2の出力結果も併せて解析した結果、熱帯太平洋の様々なタイプのENSOや数10年規模変動が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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