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第 387 回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ

日 時: 7月 25日(木) 午前 09:30 - 11:00
Date : Thu., 25 Jul. 09:30 - 11:00
場所 :環境科学院 2階 講堂
Place:Env. Sci. Bldg. D201

発表者: 本田 茉莉子(大気海洋物理学・気候力学コース/ D2)
Speaker: Mariko Honda (Course in Atmosphere-Ocean and Climate Dynamics / D2)
題目:春季の塩分データから推定するオホーツク海の海氷融解量とその変動
Title: ­Sea ice‑melt amount estimated from spring hydrography in the Sea of Okhotsk: spatial and interannual variabilities

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春季の塩分データから推定するオホーツク海の海氷融解量とその変動
­Sea ice‑melt amount estimated from spring hydrography in the Sea of Okhotsk: spatial and interannual variabilities
発表要旨:

オホーツク海は北海道の北東に位置し、北半球の海氷の南限かつ季節海氷域である。 冬季に大陸からの季節風を受けて北部で生成された海氷は、南部へ輸送されることで、 負の熱と淡水を北から南へ輸送する働きをもつ。しかし現状では、海氷融解過程の 不均一性から、どこでどれだけ融解が起こるかよくわかっておらず、海氷生成・融解 に伴う熱塩輸送への理解は定量的な議論に至っていない。一方、オホーツク海は昨今の 温暖化に対する感度が高い地域で、冬季にオホーツク海へ吹き込む風の風上地域の 気温上昇や、最大海氷面積の減少が報告されている。 そこで本研究では、海洋観測データを用いて、春季の海氷融解後、海洋表層に現れる 低塩分層を明確に示すプロファイルのみを抽出し、塩分欠損量を海氷量に変換する ことで海氷融解量の推定を行った。次に、観測データが比較的多い南部に限定して 経年変動を解析した。その結果、オホーツク海全域における海氷融解量の空間分布の 気候値を得た。さらに、南部における海氷融解量は1990年代からの約30年間で30%の 減少トレンドがあることがわかった(海氷厚換算)。融解量推定とは別に、春季の 塩分気候値を1990年以前・以後に分けて比較すると、深度50m以浅では高塩化・ 深度50-100mでは低塩化の傾向がみられ、融解量減少・淡水供給量減少に関連する 成層弱化が示唆された。発表では上記に加え、今後の展望と、南西部オホーツク海の 水温・塩分気候値及び年々の偏差から得られた宗谷暖流の変動についても述べる。

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連絡先

豊田 威信
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