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第348回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ
日 時:5月27日 (木) 09:30 - 12:00
Date :Thu., 27 May 09:30 - 12:00
ツール:Zoom (Online)
Tool :Zoom (Online)
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発表者:三寺 史夫(大気海洋物理学・気候力学コース/教授)
Speaker:Humio Mitsudera (Faculty of Environmental Earth Science/Professor)
題目:北太平洋の表層と中層をつなぐ浅い子午面循環について:大陸河川からの淡水供給の影響
発表者:山崎 開平(大気海洋物理学・気候力学コース/D3)
Speaker:Kaihe Yamazaki (Faculty of Environmental Earth Science/D3)
題目:南極海における海洋渦の振る舞い
Title:Behavior of ocean eddies in the Southern Ocean
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北太平洋の表層と中層をつなぐ浅い子午面循環について:大陸河川からの淡水供給の影響
三寺 史夫(大気海洋物理学・気候力学コース/教授)
発表要旨:
北海道東方の親潮から北太平洋北西海域は、世界でも稀な豊かな海である。その 要因は「アムール川流域の湿原から流出し、オホーツク海大陸棚から海洋循環を 通して供給される鉄分」を介した「陸海結合システム」にある。本講演では、 「陸海結合システム」の物理的な側面である、北太平洋の表層と中層をつなぐ浅 い子午面循環(南北の鉛直循環)について述べる。北太平洋子午面循環は、亜熱 帯黒潮起源水が亜寒帯循環へと侵入したのちアラスカ湾からベーリング海を経由 し、最終的にオホーツク海の北西陸棚域に到達することにより海氷生成に伴うブ ライン供給を受けて高密度陸棚水(DSW)が形成され、中層へと沈み込む循環で ある。本講演では、中でもカムチャツカ半島の降水・雪氷・河川に着目し、海洋 子午面循環を駆動する塩分変動の要因、またそれに基づく「陸海結合システム」 に対する制御メカニズムについて考察する。解析の結果、(1)カムチャツカ半島 からの河川流出量は、アムール川の約80%という大きなものであること、(2)沈 み込みを起こすDSWの塩分は、カムチャツカ半島への降水量と逆相関の関係にあ ること、(3)中層循環を駆動する塩分に対して、アムール川よりはむしろカム チャツカ河川流出水からの影響が大きいこと、が明らかとなった。本講演の最後 に、アラスカ湾からの淡水供給が子午面循環に影響をもたらす可能性について述 べる。
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南極海における海洋渦の振る舞い
Behavior of ocean eddies in the Southern Ocean
山崎 開平(大気海洋物理学・気候力学コース/D3)
発表要旨:
南極海沿岸域では、強烈な海面浮力強制によって高密度水が大陸棚から流出し、 底層水が赤道側へと運ばれる。また、偏西風によるエクマン輸送により、表層水 も赤道側へと運ばれる。そうして失われる体積を補償するように、南極海の中深 層の海水は極側へと運ばれ、等密度面に沿って湧昇する。極向きに輸送される周 極深層水は、南極海沿岸域において最も暖かく高塩分な海水であり、南極域の大 気-海洋-海氷-氷床間の熱・淡水交換を制御する、気候学的に極めて重要な水塊 である。南極海の偏西風帯では、東向きの南極周極流が卓越しており、南極周極 流を構成する複数の海洋前線での不安定性により生じる、海洋渦の移流と拡散が、 周極深層水の極向き輸送を駆動している。偏西風帯のさらに極側の大陸棚縁辺で も、海洋渦は周極深層水の極向き輸送の支配的要因である。本発表では、南極海 における海洋渦の振る舞いに焦点を当て、その大規模循環場との関係性と時間変 動性について論じる。
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