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第319回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ
日 時: 1月24日(木) 9:30 - 12:00
Date : Thu., 24 Jan. 9:30−12:00
場 所: 低温科学研究所 3階 講堂
Place : Institute of Low Temperature Science, 3F Auditorium
発表者:席浩森(大気海洋物理学・気候力学コース/D2)
Speaker:Seki Koushin (Course in Atmosphere-Ocean and Climate Dynamics/D2)
題目:対流圏化学再解析データを用いた東アジア及び太平洋における成層圏対流圏大気交換の研究
発表者:坂崎貴俊(京都大学 理学研究科/助教)
Speaker:Takatosi Sakazaki(Graduate School of Science, Kyoto University/Assistance Professor)
題目:成層圏で励起された大気潮汐波に対する熱帯対流圏の応答
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対流圏化学再解析データを用いた東アジア及び太平洋における成層圏対流圏大気交換の研究 席浩森(Seki Koushin) 発表要旨:
成層圏と対流圏の間の大気交換は、成層圏と対流圏の物質分布を決める一つの重要な 要素であり、地球の大気環境にとって重要な過程である。本発表では、自身の修士論 文の発展として、化学再解析データを複数用いて、北半球冬季のオゾンと一酸化炭素 の輸送に着目して、成層圏対流圏大気交換を解析する。 使用する化学再解析データは、JAMSTECによるTCR-1とECMWFによるMACCである。成層圏 から対流圏に輸送されるオゾンと、対流圏から成層圏に輸送される一酸化炭素に注目 する。両化学再解析データの比較についても議論する。その上で、2005年~2012年の 北半球冬季の期間について、350K等温位面におけるロスビー波の砕波(Rossby wave b reaking)に伴う成層圏対流圏大気交換を解析する。対流圏界面の位置は4 PVUの位置と 定義する。 8年間の解析結果として、TCR-1とMACCの結果は定性的には同じ傾向を示した。2008~20 09年の冬季より以前のオゾンの交換量は明らかにそれ以降の年より少ない。2005年から 2012年まで、成層圏から対流圏へのオゾンの交換量は増加傾向を示した。一方、2008~ 2009年の冬季より以前の一酸化炭素の交換量は明らかにそれ以降の年より多い。2005 年から2012年まで、対流圏から成層圏への一酸化炭素の交換量は減少傾向を示した。 さらに、不可逆的な輸送の量をより正確に見積もるため、これまでの解析法に流跡線 解析を組み合わせる。今回の発表では、その進捗報告として流跡線の計算方法と一部 の結果を示す。成層圏で励起された大気潮汐波に対する熱帯対流圏の応答 坂崎貴俊(Takatosi Sakazaki)発表要旨:
近年熱帯域における対流圏-成層圏結合過程に注目が集まっている.ここでは大気 潮汐波という大気波動を介した結合過程に新たに注目する.潮汐波は主に太陽放射の 日周期によって熱的に励起される大気波動である.特に熱帯域においては半日周期が 卓越するが,その多くは成層圏オゾン層の加熱によって励起され下方伝播する潮汐波 による. 本研究ではこの特徴に着目して,数値モデル内で成層圏オゾン層の放射加熱にのみ 日周期が存在する(つまり,対流圏・地上では放射加熱の日周期が無い)仮想的状況 を作り出し,成層圏から下方伝播する半日周期潮汐波に対して熱帯対流圏(地上降水 ・地上気温)がどのように応答するかを調べた. まず地上降水は,当状況下でも現実場の50%程度の半日周期降水が生じることがわか った.すなわち,成層圏由来の力学的変動が熱帯地上降水に無視できない影響を与え ることを示す.ただし応答の大きさはモデルの積雲スキームに依存し,半日周期降水 が力学強制への降水応答を測る新たな診断量になり得ることを示唆する. 一方地上気温の変動は,潮汐波自身に伴う断熱的変動と,それらが地表面との熱交 換によって減衰される効果の重ねあわせで説明できることが分かった.実際,地表面 との熱交換係数を変化させると地上気温変動も系統的に変化する. 以上は仮想的状況でのモデル実験結果だが,本結果は太陰潮汐(月によって力学的 に励起される潮汐)に伴うシグナル(降水,気温)によって,観測的にその妥当性を 担保できると同時に,モデルの各種パラメター(積雲スキーム,熱交換係数)を束縛 し得ることも議論する.
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