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第 213回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ
日 時: 1月 20日(木) 午前 09:30
場 所: 低温科学研究所 3階 講堂
発表者: 大島 和裕 (地球圏科学部門大気海洋物理学分野/博士研究員)
\\Kazuhiro Oshima, Post Doctoral Fellow
題 目: CMIP3マルチ気候モデルにおける北太平洋のSLPとSSTトレンドの地域差
\\Regional diferences of SLP and SST warming trends in the North Pacific based on CMIP3 multi-model projections
発表者: 屋良 由美子 (大学院地球環境科学研究院 地球圏科学部門 気候力学分野)
\\Yumiko Yara, Post Doctoral Fellow
題 目: 海洋窒素・炭素循環研究に使用するための低次生態系モデルの開発経過
\\Projected Effects Of Global Warming and Ocean Acidification On Corals In Seas Close To Japan
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CMIP3マルチ気候モデルにおける北太平洋のSLPとSSTトレンドの地域差 \\Regional diferences of SLP and SST warming trends in the North Pacific based on CMIP3 multi-model projections \\(大島 和裕 \\Kazuhiro Oshima)発表要旨 :
将来の気候変化を明らかにする上で,地球温暖化による大気と海洋の地域的な平均場 の変化や内部変動の再現性を調べることは重要である。本研究では,CMIP3マルチ気候 モデルにおける地球温暖化実験(SRES A1B)の結果を用いて,北太平洋における地球 温暖化に伴う海面気圧(SLP)と海面水温(SST)トレンドの地域分布について解析を 行った。24モデルによるSLPトレンドのアンサンブル平均は,ベーリング海に負トレンド のピークを持ち,日本から東にのびる中緯度で正トレンドを示す。これは幾つかの先行 研究でも指摘されているようにアリューシャン低気圧の北へのシフトを示している。 しかしながら,SLPトレンドは,特に冬季の北太平洋域において,モデル間のバラツキ が大きい。また,東部北太平洋におけるSLPトレンドの符号は,幾つかのモデルでは正, 他の幾つかのモデルでは負を示し,モデルによって符号が異なる。この他の大部分の 地域では,正か負のどちらか一方の符号のトレンドを示す。これらの結果は,北太平洋 の大気循環を特徴づけるアリューシャン低気圧の変化がモデルによって様々であり, 予測の不確実性が高いことを意味している。このようなSLPトレンドの不確実性に関わる 2つの要因(内部変動,モデル特性)について検討した結果,北太平洋におけるSLP トレンドの不確実性にはモデル特性による寄与が大きいことがわかった。更に,SLP トレンドが北太平洋における海面水温SST上昇の地域差と関係することがわかってきた。海洋窒素・炭素循環研究に使用するための低次生態系モデルの開発経過 \\Projected Effects Of Global Warming and Ocean Acidification On Corals In Seas Close To Japan \\(屋良 由美子 \\Yumiko Yara)発表要旨 :
大気中の二酸化炭素(CO2)の増加は地球温暖化や海洋酸性化を引き起こし,様々 な形でサンゴ分布に影響を及ぼすと考えられる。地球温暖化に伴う水温上昇は サンゴの分布域を高緯度側へ拡大させると予測される(屋良ら,2009)。一方で,海 洋酸性化に伴うアラゴナイト(炭酸カルシウムCaCO3のとる結晶形態の1つ)飽和度 (Ωaragonite)の低下は水温の低い海域から現われ始めるため,サンゴはより最適 な水温である高緯度地域へ移動したとしても,高緯度域においてΩaragoniteが未 飽和となるような海域ではアラゴナイトから成る骨格の形成が阻害される恐れが ある。さらに酸性化が進むとΩaragoniteの未飽和域は低緯度側へ拡大し,サンゴ が溶け出す恐れがある。水温の上昇とΩaragoniteの低下は複雑に相乗作用すると 考えられるが,本セミナーでは気候モデルによってシミュレートされた水温と Ωaragoniteのデータと簡易指標を用いて,地球温暖化に伴う水温上昇と海洋酸性 化が将来の日本近海における潜在的なサンゴ分布に及ぼす影響について紹介する。
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