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第 209回 大気海洋物理学・気候力学セミナー のおしらせ
日 時: 10月 14日(木) 午前 09:30
場 所: 低温科学研究所 3階 講堂
発表者: 青木 邦 (北海道大学大学院理学研究院/博士研究員)
\\Kunihiro Aoki, Post Doctoral Fellow, Faculty of Science, Hokkaido University
題 目: 渦解像海洋モデルにおける渦熱輸送量
\\Eddy heat transport in a global eddy-resolving ocean GCM simulation
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渦解像海洋モデルにおける渦熱輸送量 \\Eddy heat transport in a global eddy-resolving ocean GCM simulation
\\(青木邦弘 \\Kunihiro Aoki)発表要旨 :
海洋熱輸送は、地球が受ける太陽からの正味の入射エネルギーの南北間での 不均衡を解消するように働き、地球における気候システムの中で重要な役割を担っている。 これまで、船舶等の現場観測データを用いた海洋熱輸送量の推定が行われてきた。 しかし、現場観測データに基づく解析では、海洋の大規模場による熱輸送量しか得ること ができない。海洋には、数10-数100kmの空間スケールを持つ中規模渦が広く存在しているため、 これら中規模渦の南北熱輸送に対する寄与を調べることなくして、真の海洋熱輸 送量を知ることはできない。そこで、本研究では、地球シミュレータで運用されている 全球渦解像数値海洋モデル(OFES)の経年変動実験の2003年−2007年のアウトプッ トを解析し、この期間の平均における南北渦熱輸送量を推定した。渦熱輸送量の計算は、 全球において既に完了しているが、今回は、海洋・気候力学においても、また、 海洋生態系分野においても注目度の高い、黒潮続流域を対象にした解析結果を報 告する。渦活動の盛んな海域として知られる黒潮続流域から亜寒帯フロント域では、 卓越した渦熱輸送が見られ、南北熱輸送量全体のおよそ50%にも達することが明 らかになった。また、当該海域における渦熱輸送の南北収束は、海面を通して大気に放出されて いることも分かった。海面熱フラックスに寄与する渦熱輸送量の水平収束は、渦の活動が黒 潮続流全域に広く分布するにもかかわらず、ごく日本近海である三陸沖500km程度の範囲内に おいて卓越する。渦熱輸送量のうち、水平収束に寄与する成分の空間分布を調べたところ、渦によっ て運ばれる熱の起源は、離岸直後の黒潮続流域にあることが分かった。そこでは、大規模場 による熱輸送量が水平収束を持ち、大規模場によって熱が絶えず供給されている。大規 模場によって供給された熱は、定常状態を維持するように、渦によって領域の外に放出されて いる。これらの結果から、離岸直後の黒潮続流域は、大規模場から渦に熱が受け渡される 海域であるという構図が浮かび上がってきた。発表当日は、人工衛星データを用いた 渦熱輸送量の推定方法の提案や、渦熱輸送の続流変動への寄与についても議論したい。
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