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- 前期講義
- 大気循環力学特論I(担当 山崎; 対象 M1)
大気大循環の力学(1)
- 1. 地球大気の概観
- 2. オゾン層
- 3. 大気の熱力学
- 4. 大気の運動方程式
- 5. 風のバランスと近似
- 6. ロスビー波
- 7. 温帯低気圧と大循環
- 海洋力学特論I(担当 竹内; 対象 M1)
海洋の構造とそこで起きている(主として物理的な)現象とそのメカニズムを概観する。海洋物理学入門的な内容。数式は最小限に押さえ、直感的な理解を目指す。
- 1 海の役割
- 2 海水の物理的性質
- 3 水塊分布と形成
- 4 深層循環とコンベア・ベルト
- 5 混合層、海面フラックス
- 6 風浪、潮汐
- 7 地衡流
- 8 力学的高度と地衡流計算
- 9 海流
- 10 西岸境界流
- 11 エクマン輸送、湧昇
- 12 海洋観測
- 気候変動特論I(担当 向川: 1-5, 山中 6-11;対象 M1)
熱、エネルギー、水などの循環と気候並びにその変動に関する基礎的講義を行う。
- 1. 気候システム概論
- 2. 全球のエネルギーバランス
- 3. 放射伝達方程式
- 4. 放射と気候 ‐温室効果‐
- 5. 地球大気海洋の形成と変遷
- 6. エネルギーバランスモデル
- 7. 物質循環の基礎
- 8. 海洋循環とトレーサーの分布
- 9. 氷期-間氷期サイクル
- 10. 二酸化炭素循環(温室効果ガス収支)
- 11. 地球温暖化
- 地球流体力学特論(担当 久保川; 対象 M1)
流体力学と回転流体力学。密度一様な単純な場合について、その基礎力学を学ぶ。
- 1.流体力学の基礎
- (1) 流体の基礎方程式
Lagrange微分とEuler微分、連続の式、運動方程式、非圧縮の仮定
- (2) ベルヌイの定理
順圧流体の運動方程式・静止状態・定常状態
- (3) 渦、渦度、循環
- 渦度と循環、循環定理・渦定理、渦度方程式
- (4) 水の波
浅水波、より一般的な場合の水の波
- (5) 粘性流体
粘性流体の方程式、Reynoldsの相似則、粘性流体のいくつかの解、
Reynolds応力と渦粘性
- 2. 回転流体力学
- (1) 回転系での方程式
回転系での方程式、遠心力とジオイド、コリオリ力と慣性振動、局所直
交直線座標系
- (2) 回転系での浅水波と地衝流
回転系での浅水波の式、慣性重力波、ケルビン波、地衡流調節、地衡
流
- (3) エクマン境界層
エクマンスパイラル、エクマン輸送・エクマンパンピング、スピンアッ
プ・スピンダウンとポテンシャル渦度
- (5) 準地衡流渦度方程式
準地衡流渦度方程式、地形性ロスビー波、底の傾斜と惑星・
惑星ロスビー波
- (6) 西岸境界流
ストムメルの解、スベルドラップ流と西岸境界流
- 数値解析法特論(谷本; 対象 M1)
大気海洋データの統計解析法に関する講義を行う。
- 1 基礎統計量
- 2 確率分布
- 3 コンポジット(合成図解析)
- 4 相関係数・回帰係数
- 5 統計的検定
- 6 スペクトル解析
- 7 移動平均・フィルタリング
- 8 多変量解析
- 極域海洋学特論(担当 若土;対象 M1, M2)
南北両極域をはじめ季節海氷の存在するオホーツク海・ベーリング海
など高緯度海域の海洋学とそれが世界の海洋に果たしている役割について概
説する。主な講義項目は以下のとうりである。
- 1. 海氷の物理学
- 2. リモートセンシングによる海氷研究
- 3. 北極圏(含北極海)海洋学
- 4. 南大洋(含南極海)海洋学
- 5. 両極域海洋の比較
- 6. 縁辺海(オホーツク海・ベーリング海)における季節海氷の役割
- 7. 深・底層水の生成過程
- 8. ポリニア(海氷域内大規模開水面)における大気ー海洋相互作用
- 9. 海氷の全球的気候における役割
- 大気環境科学特論(担当:藤吉・遠藤;対象 M1 )
降雨、降雪をもたらす雲システムの研究を理解するための基礎、
及びその観測法等について概説する。
- 1.湿潤大気の熱力学
- 2.暖かい雨の雲物理過程
- 3.冷たい雨の雲物理過程
- 4.積雲対流の力学
- 5.地上気象観測の基礎
- 6.気象レーダーの基礎
- 7.メソ気象の基礎
- 海洋環境科学特論II(担当 化学物質循環講座 角皆;対象
M1, M2)
大気化学、海洋化学の基礎並びに化学物質から見た大気・海洋物質循環に関する
講義を行う(この授業は偶数年度開講。)。
- 気候変動特論II(担当 沼口・池田;対象 M2)
「大気海洋相互作用に焦点をあて、気候を決めている基礎メカニズムからはじ
めて、気候システムの地域による特性も含めた、さまざまな気候変動現象を理
解する」ための講義
- 1 基礎プロセス(2回)
- 大気海洋の基本構造の形成変動にかかわるプロセスの概観
- 大気海洋間のエネルギー・水収支(地表フラックス,雲の影響等)
- 2 気候変動スケール・中高緯度(4回)
- 海洋風成大循環と大気大循環
- 深層循環のメカニズム(中緯度での蒸発と海洋塩分の関係)
- 北大西洋振動と北極振動(海氷のやくわり)
- 南極周回波動
- 3 シノプティックスケールと沿岸メソ気象スケール(2回)
- 日本南岸低気圧
- 冬期の大陸からの吹きだし、海氷生成
- 4 低緯度と全球規模の気候形成・変動(4回)
- 低緯度の大気大循環(ハドレー循環,熱帯収束帯,ウォーカー循環)
- 低緯度の気候と大気海洋陸面相互作用(暖水塊の形成,モンスーン)
- 赤道波(大気,海洋,結合波動)
- エルニーニョと南方振動,テレコネクション
- 註:「対象 M1」の授業はM1の間に理解することが望ましいと教官側が
考えている授業であり、「対象M2」の授業はM1の間に習うであろう内容が必要とな
る授業である。別に、M1の時しかとれないとか、M1で取ってはいけないという
意味ではない。
- 後期講義
- 大気循環力学特論II(担当 塩谷)
大気大循環の力学(2)
- 1. 大気の観測
- 2. 大気中のさまざまな波動
- 3. 波動と平均流の相互作用
- 4. 成層圏と中間圏の大循環
- 5. 成層圏突然昇温
- 6. 準2年周期振動
- 7. オゾンホール
- 海洋力学特論II(担当 大島)
前半は「海洋波動とそれによる海洋諸現象の理解」が中心、その後簡単なモデルを自
分で動かしてもらって、その知識を実感してもらう。
- 1. 浅水波方程式と波動・地衡流調節(地球流体力学と特論Iの復習)
- 2. 潮汐
- 3. 二層モデル・湧昇
- 4. 連続成層モデル(鉛直モード展開)
- 5. 陸棚波・沿岸捕捉波
- 6. ロスビー波・海面高度計
- 7. 赤道波・海洋大循環のスピンアップ
- 8. 1.5層の海洋大循環モデルを動かしてみる(演習形式)
- A.西岸境界流のスピンアップ
- B. 赤道付近の擾乱の応答
- 9. モデル結果の発表会
- 10.海流の不安定
- 10・1 順圧不安定
- 10・2 傾圧不安定
- 11.KH不安定と海水混合(実際に実験してみる)
- 12.テスト
- 13.テストを材料にして復習
- 海洋環境科学特論I(池田)
- 1 海洋物理量の定義と測定法
- 2 海洋観測船による観測
- 3 海洋のリモートセンシング観測
- 4 海洋データ解析の特殊性
- 5 海洋データ同化
以上の項目について、気候変動における海洋の役割り、海洋混合層、中規模
現象、陸棚循環、海洋大循環、深層循環、物質循環などに注目しながら学び、
衛星による海洋のリモートセンシング、海洋観測法、その他について講義する。
- 気候モデリング特論(向川:1-5、山中:6-10)
- 1. 数値モデリングとは何か
- 2. 差分方程式の原理
- 3. 常微分方程式の差分化
- 4. 精度と数値安定性
- 5. 1次元移流方程式の差分化
- 6. 気候モデルとは(簡単モデルから複雑モデルまで)
- 7. 大気大循環モデルとそれを用いた基礎的研究例
- 8. 地表面過程モデルとそれを用いた基礎的研究例
- 9. 海洋大循環モデルとそれを用いた基礎的研究例
- 10. 大気海洋結合モデルとそれを用いた基礎的研究例
上記物理系講義以外に、地球環境科学研究科全体の共通講義「地球環境科学入門」
が4月11, 12日に予定されています。また、非常勤講師による集中講義「大気
海洋圏環境科学特別講義I」として、2000年度は次の2つが予定されています。
- 「マイクロ波リモートセンシングと風波・海面境界過程」(7月10日頃)
講師: 江淵 直人 (東北大学大学院理学研究科)
- 「地球温暖化、気候変動と古気候」(9月頃)
講師: 真鍋 淑郎 (地球フロンティア研究システム)
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文責: 山崎孝治