2001年度沼口修士論文賞 |
授賞者「加山 斉」
- 受賞論文「陸上生態系モデルによる炭素循環の再現」
- 選考理由
陸上植生や海洋による人為起源二酸化炭素吸収量を見積もることは、地球温暖
化問題にとって重要な研究課題の一つである。そのため、陸上生態系モデルは、
海外ではこの10年間に飛躍的発展を遂げた。例えば、大気境界層および土壌水収
支を含めた地表面過程に注目したモデルと、植物生理学を含む炭素循環に注目し
てきたモデルとの融合が行われてきている。しかし、衛星データとの組み合わせ
や植物季節、物理的な陸面過程の導入など、巨大複雑化し、また、学問的背景と
して大気科学、水文学、植物生理学など様々な知識を必要とし、一人の研究者が
陸上生態系モデル全体を理解することは難しくなってきた。加山君は、数多くの
論文をレビューすることで、様々な陸上生態系モデルを理解し、日本で開発され
てきた地表面過程モデルMATSIROに炭素循環過程や植物季節を組み込むことを試
みた。その試みは道半ばであるが、果敢に、大気海洋の分野とは異なる分野に挑
戦した姿勢は、高く評価される。また、指導教官に多くを頼らずに、彼自身が主
体的に研究テーマの選択や研究に必要な情報収集などを行ったことも評価される。
北海道大学 大学院地球環境科学研究科 大気海洋圏環境科学専攻