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第 278 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2021/10/26(火) 13:00 -- 14:00

ツール:Zoom

発表者:八幡 大睦

題 目:北日本における秋季から初冬にかけての降雪に対するSSTの影響

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北日本における秋季から初冬にかけての降雪に対するSSTの影響(八幡 大睦)発表要旨:

日本の降雪は、主に「冬季モンスーン型(以下、冬型)」と「低気圧型」の二種
類の総観場によってもたらされる。冬型の降雪は、西高東低の気圧配置により日
本海側に降雪をもたらす。低気圧型の降雪は、低気圧の接近・通過に伴って日本
海側及び太平洋側に降雪をもたらす。このような総観場は、条件が揃えば秋季か
ら初冬でも降雪をもたらすことがある。秋季から初冬にかけての突然の雪は、人
々の生活に大きな影響をもたらす。例えば、2012年11月27日には、北海道を中心
に暴風雪による送電鉄塔の倒壊や広域停電が、2016年11月24日には、東京などで
積雪による交通機関の運休や遅延、転倒事故など様々な影響があった。このよう
な秋季から初冬にかけての降雪事例に着目して研究を行うことは、防災の観点か
ら重要である。
日本の降雪・降水に影響を与える要素の一つに日本近海の海面水温(SST)があ
る。Sato and Sugimoto (2013)は、日本海北部のSSTが高いと北日本の日本海側
の冬季降水量が増加することを示した。また、Yasunaga and Tomochika (2017)
は、日本海北部の秋季(11月)のSSTが、冬季のSSTよりも日本海側の冬季降水量と
の相関が高いことを示した。さらに、温帯低気圧化した台風による太平洋側にお
ける降水量が、東北地方沿岸の高いSST偏差によって増加することも分かってい
る(Iizuka et al., 2021)。このように日本近海のSSTは日本の降雪・降水に対し
て正の効果を持つ。一方、降雪に対してSSTが負の効果をもたらす可能性もある。
負の効果とは、例えばSSTの上昇に伴い地上から下層付近にかけての気温が上昇
し、降雪粒子が融ける効果である。特に秋季から初冬においては、冬季と比べて
SST及び気温のいずれも高いため、降雪に対するSSTの関係が複雑である。そこで
本研究では、日本における秋季から初冬にかけての降水に対するSSTの影響を調
べることを目的とする。
本研究では、2013年10月における北日本での台風による降雪の事例に着目し、
降雪に対するSSTの影響を調査している。まず、この事例で降雪が起きた道央・
道東における水蒸気の輸送経路を調べるために、後方流跡線解析を用いて空気塊
の経路の特定を行った。さらに、空気塊の経路を決める要因を調べるために、解
析時刻における大気場の調査を行った。その結果、ユーラシア大陸からの寒気が
日本海北部及びオホーツク海を通り、道央・道東に流入していることがわかった。
また、解析期間における大気場と降水分布、SST分布の関係を調べた。本発表で
は、これらの調査の詳細及び今後の展望について発表する。
    

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北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース D1
太田 聡 (Satoshi Ota)
E-mail:ota_satoshi[at]ees.hokudai.ac.jp
([at]を@に置き変えてください)