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第 265 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2019/10/15(火) 13:00 -- 14:00
場 所:環境科学院 D101
発表者:澤柳 元春(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:北海道における夏季の降水に対する近海のSSTの影響
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北海道における夏季の降水に対する近海のSSTの影響(澤柳 元春) 発表要旨 :
近年の気温上昇に伴い、日本での短時間極端降水の強度は増加傾向で ある(Fujibe, 2013)。気象庁によると日本近海の海面水温(SST)の上昇率 (+1.21℃/100年)は日本の気温の上昇率(+1.12℃/100年)とほぼ同様である。 Manda et al. (2014)は九州西部で2014年7月11-14日に発生した強い降水 は東シナ海のSSTが高かったことが原因であることを指摘した。一方、 Yamada et al. (2012)は日本海のSSTが上昇すると北海道における強い降 水の要因の1つである線状降水帯の発生回数が増加すると示した。しか し、北海道における強い降水と周辺のSSTの関係は不明である。さらに、 北海道は異なる3つの海域に面していることから日本海以外の海域のSST が与える影響も否定できない。そこで本研究では北海道周辺のSSTと北海 道における強い降水の関係を明らかにすることを目的とする。 本研究では地上観測データ(AMeDAS)を用いて、北海道における1982~ 2016年の夏季(6~8月)の日降水量と1時間降水量を解析した。解析に用い た地点数は約220地点である。さらに、SSTデータとしてOISST(解像度は 0.25°×0.25°)を使用した。 北海道の日降水量や1時間降水量と日本海や太平洋、オホーツク海のSST の関係を調べた。日降水量に50、100、150mm/dと閾値を設け、閾値を超え る降水の発生回数や発生日数とSSTの年々変動についての相関を調べた。ま た、1時間降水量に50、25、5mm/hと閾値を設け、閾値を超える降水の発生 日数とSSTの相関をとった。ここで発生回数は各地点における閾値を超える 降水が観測された回数の合計と定義し、発生日数は少なくとも1地点以閾値 を超える降水が観測された日数と定義した。 6月の50、100mmを超える日降水量の発生回数と6月のSSTの年々変動では 有意な負の相関がみられた(50mmについてはー0.38、100mmについてはー0.36)。 しかし7、8月では相関が無かった。6~8月の3か月平均や7月、8月の25mm/h を超える降水の発生日数と日本海や太平洋、オホーツク海のSSTの年々変動に は相関がみられた。SSTが高い年ほど1時間降水量が25mmや50mmを超える強 い降水の発生日数が増加することが分かった。8月は25mm/hを超える降水の発 生日数と日本海や太平洋、オホーツク海のSSTの年々変動と正の相関があり、 50mm/hを超える降水では日本海やオホーツク海のSSTと正の相関があった。 8月のSSTが50mm/hを超える強い降水に対して影響を与えていることが示唆さ れる。
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