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第 257 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2018/10/18(木) 15:00 -- 16:00
場 所:環境科学院 D101

発表者:中村 優斗(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:熱帯海盆間変動が太平洋の中緯度大気海洋系に及ぼす影響

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熱帯海盆間変動が太平洋の中緯度大気海洋系に及ぼす影響(中村 優斗) 発表要旨 :

 熱帯海域における気候変動は、全球の気候に様々な影響を与えることが知られ
ている。近年の温暖化ハイエイタス現象は、東部熱帯太平洋のSST低下により生
じていることが指摘されている(Kosaka and Xie, 2013)。この東部熱帯太平洋
のSST低下は、太平洋の内部変動によるものか、もしくは他の海盆から影響を受
けているのか議論が分かれているが、McGregor et al., (2014) は東部熱帯太平
洋のSST低下が熱帯大西洋のSST上昇に起因することを示した。McGregor et al., 
(2014) の研究では、熱帯大西洋のSST変動に起因する、熱帯大気のウォーカー循
環を介した海盆間スケールの10年規模変動である熱帯海盆間変動(tropical 
trans-basin variability, TBV)の存在を指摘した。また、大西洋が太平洋の気
候変動にある程度影響を及ぼしていることがChikamoto et al., (2016) により
定量的に示されている。
 TBVが熱帯海域に影響を及ぼすメカニズムについては、ある程度解明が進んでい
るものの、大西洋がどのように中緯度の気候に影響を及ぼしているかについては、
詳しいことは判明していない。そこで本研究では、TBVと北太平洋の中緯度大気
海洋系の間に存在する物理過程を解明することを目的とした。
大西洋による北太平洋の気候への影響を調べるため、本研究ではChikamotoらに
よって行われた部分同化実験群を解析した。部分同化実験は、大気海洋結合モデ
ルの特定の海域に海水温と塩分の観測データを同化しながら物理過程の計算を行
うことで、観測データを同化した海域が大気や他の海域にどのような影響を及ぼ
しているか評価することができる。本研究では大気海洋結合モデルMIROCおよび
CESMで計算された全球同化実験、熱帯太平洋同化実験、大西洋同化実験の3実験
群を用い、各実験群のSLP、SST、降水量を解析した。TBVの指標であるTBV index
(McGregor et al., 2014; Chikamoto et al., 2015)を計算し、各変数とTBV 
indexの相関および回帰分析を行うことで、大西洋が全球の気候にどの程度影響
を及ぼしているか調べた。今回の発表ではその結果と、今後の研究の展望につい
て述べる。

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
松下 侑未 Matsushita Yumi
E-mail:yumi-matsushita@ees.hokudai.ac.jp