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第 248 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2017/10/17(火) 14:00 -- 15:00
場 所:環境科学院 D101
発表者:植木 聡明(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:温暖化による海氷減少および海面水温変化が中緯度ジェットに与える影響
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温暖化による海氷減少および海面水温変化が中緯度ジェットに与える影響(植木 聡明) 発表要旨 :
温暖化による中緯度の対流圏のジェットは、北半球と南半球ともに極方向への シフトを示すことが知られている。しかしながら、CMIP5を用いた近年の研究 により、このようなシフトは南半球で顕著であり、北半球では明瞭でないことが 分かってきた。さらに、北半球の太平洋上と大西洋上においても応答が異なる。 Grise et al.(2014)は、CMIP5のアンサンブル平均の結果を用いて、このような 東西風の応答に違いが生じる要因として、温暖化に伴う海面水温の変化が大きく 影響していることを示した。さらには近年、北極域の海氷の減少が中高緯度の 気象に及ぼす影響が注目されている。Deser et al.(2015)の大気海洋結合モデル を用いた実験では、北極域の海氷減少を取り除くと、北半球の東西風の応答は 南半球と同様に極方向へのシフトすることが示された。このように、海氷減少は 高緯度の東西風を弱める働きがあり、そのメカニズムの1つとしてプラネタリー 波の強化と上層への伝搬がある(Sun et al.2015)。しかし、中緯度ジェットの 応答に対して、海面水温変化と海氷減少がそれぞれどの程度寄与するかはあまり 分かっていない。そこで本研究では大気大循環モデルを用いて、海面水温による 効果と海氷減少による効果を季節性を含め風の応答について調査する。 海面水温による効果をより詳しく調べるため、北半球の中高緯度の海面水温変化 のみをみる実験も行った。今回は現時点での結果および今後の展望について述べる。
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