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第 240 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2015/11/4(水) 13:00 -- 14:00
場 所:環境科学院 D201
発表者:木村 光佑(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:GPS可降水量を用いた日本における短時間強雨の年々変動の解析
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GPS可降水量を用いた日本における短時間強雨の年々変動の解析(木村 光佑) 発表要旨 :
世界平均地上気温は1880年から2012年の期間で約0.85度上昇しており、今後も温 室効果気体の排出により気温上昇が予測されている。IPCCによると、気温上昇に 伴い多くの地域で降水強度や強い降水の頻度が増加することが予測されている。 日本では、1898年以降100年につき約1.1度気温が上昇している。また、幾つかの 先行研究において、近年極端に強い降水事例が増加している可能性が指摘されて いる。一般的に低気圧や前線などが通過する際、強い降水が発生する。一方で IPCCによる将来予測の結果では、将来(2081年~2100年)、多くの中低緯度地域だ けでなく、熱帯低気圧や前線の影響を受けにくいと考えられる高緯度の地域でも 降水強度の増加と強い降水の頻度の上昇が予測されている。このことに関して IPCC(2007, 2013)や藤部(2013)では気温上昇に伴い大気中の水蒸気量が増加する ことが強い降水に影響を及ぼすと示唆しているが、実際に強い降水が発生した際 の水蒸気量の観測値を用いて議論されていない。また、クラウジウスクラペイロ ンの式から気温の上昇と飽和水蒸気圧の増加は対応関係にあるのが明らかである が、地上から上空までの水蒸気量の鉛直積算値である可降水量は気温に対して同 様の関係を持つとは限らない。そこで本研究では強い降水に関して、水蒸気量に 着目し、可降水量の観測値を用いて、強い降水に関して気温と可降水量の関係を 明らかにすることを目的とする。研究対象は、以下に述べる高密度のGPS可降水 量データが利用できる日本で、解析期間は1998年から2010年の13年間である。使 用するデータは日本全域に配置されているGPS基地局のうち解析期間中に連続し てデータが使用可能な265地点から得られたGPS可降水量、アメダス(気温、降水 量)、及びアメダスの降水量と降水レーダーを合成した解析雨量である。可降水 量を観測する手法としてラジオゾンデが広く用いられているが、空間分解能は解 析領域に関して、時間分解能は強い降水事例に関して十分ではない。一方、GPS 可降水量は空間分解能、時間分解能共に高いことが利点である。本研究では、気 象庁の区分にならって日本全国を6地域に区分し、265地点分のGPSの観測地点を 分類し、地域ごとに強い降水が発生した際の気温と可降水量の関係を検証する。 初期解析として、北日本日本海側の地域(35地点)において、地点ごとに0時から 23時までの1時間毎に解析期間で最も可降水量が高い事例を抽出した。その結果 10事例抽出され、それぞれの事例に関して解析雨量と天気図を用いて比較したと ころ、(1)10事例全てが7月か8月に発生したこと、(2)低気圧や前線の影響により 降水帯が広く分布する事例と、不安定成層により局所的な降水を伴う事例に分け られること、が分かった。今後は他の地域においても可降水量の高い事例を抽出 し、それぞれの地域で可降水量と気温との関係を調べる。 短時間強雨の年々変動の解析 突発した雨の解析 雨の継続時間 1時間降水量 =50mm以上 使用データ GPS可降水量 1998-2010 265地点 アメダス 1998-2010 解析雨量 1998-2010
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