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第 209 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2010/11/2(火) 15:30 -- 18:00
場 所:環境科学院 D201講堂

発表者:寺尾 建哉(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:東部熱帯太平洋における下層雲変動と力学的要因に関する研究

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東部熱帯太平洋における下層雲変動と力学的要因に関する研究(寺尾 建哉) 発表要旨 :

  東部熱帯太平洋は下層雲の多い領域である。下層雲は熱帯の放射収支に影響す
  る気候学的にも重要な因子である。下層雲量を変動させ得る要因は様々考えられ
  るが、力学的な要因もその1つと考えられる。そこで本研究では力学的要因に着
  目し、下層雲の変動に影響を与える力学的要因を明らかにすることを研究目的と
  した。東太平洋では下層(700hPa付近)に南北風の強い層の存在が観測されてお
  り (Zhang et al. 2004)、この下層南北風が下層雲量を変動させ得る可能性があ
  る。また当領域では、南北風の変動を伴う西進する数日周期の総観規模擾乱の存
  在が知られている。そこでまず下層(700hPa)の南北風に着目し、南北風の変動と
  下層雲の変動の関係を調べることにした。解析には、国際雲気候計画(ISCCP)の
  静止衛星IRデータと再解析データ(ERA-interim, JRA-25)を用いた。
   南北風・下層雲それぞれをスペクトル解析すると、南北風は3~10日の周期
  帯で、下層雲は季節変動の他に3~数10日の周期帯で変動のエネルギーが大き
  かった。このうち南北風・下層雲共に変動の大きい3~7日の周期帯に着目し
  た。北半球秋季(8-12月)に限定して相互相関の指標である2乗コヒーレンス
  を調べると、3~7日の周期帯に弱いながらも下層雲と南北風の有意な相関が示
  された。結果を基に考察すると、3~7日周期の変動に伴う鉛直流が下層雲の変
  動に影響する可能性が示唆される。
   下層雲の変動を決める力学的要因をさらに調べていくことが今後の課題であ
  る。また下層雲の変動のエネルギーの大きかった数日~数十日の周期の変動につ
  いても調べていきたい。

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
干場康博
E-mail:h-dragon@ees.hokudai.ac.jp