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第 197 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2008年 10月 28日(火) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 A棟 講堂
発表者:兼成 智久(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:冬季黒潮続流域における高解像度海洋気象データセットの解析
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冬季黒潮続流域における高解像度海洋気象データセットの解析 (兼成 智久) 発表要旨 :
海洋から大気への影響について、黒潮(市成, 2006)やメキシコ湾流 (Minobe et al. 2008)で大気境界層を超えて自由大気に及ぶ影響が 報告されている。Minobe et al. (2008)はメキシコ湾流で海洋によ り海上風の収束、熱の放出によって降水が強化されるという大気へ の影響のメカニズムを示したが、黒潮・黒潮続流域でも同じメカニ ズムがはたらくかどうかはわかっていない。 そのため本研究では黒潮・黒潮続流域において、海洋からの熱の供 給と、大気境界層より上空の自由大気の状態との間にどのような対 応関係があるのかを調べた。本研究では黒潮続流域に降水が集中し ている冬季に注目して観測データと再解析データの解析を行った。 1月の黒潮・黒潮続流域では大陸からの季節風により海面水温と海 上気温との差が大きく、海洋から大気に放出される顕熱・潜熱フラ ックスも大きい。この熱フラックスが大きい海域では海面気圧の南 北偏差は負となり、上空では対流圏中層に及ぶ正の気温偏差が見ら れた。これらの解析から海面からの熱の供給の影響が自由大気に及 び、大気が暖められた結果、海面で負の気圧偏差が生じた可能性が 示唆される。 今後は水蒸気の輸送を調べることにより、雲や降水への影響がある かどうかを明らかにするとともに、他の季節や海域での同様な解析 や定量的な議論を進めていく方針である。
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