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第 185 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2006年 10月 30日(月) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 A棟 講堂
発表者:工藤正則 (大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:簡略化した大気-海洋-陸上植生モデルによる二酸化炭素とその同位体および酸素の収支に関する考察
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簡略化した大気-海洋-陸上植生モデルによる二酸化炭素とその同位体および酸素の収支に関する考察 (工藤正則) 発表要旨 :
海洋生態系や陸上植生などの要素を統一的に見るのは難しい。 私は物質循環全体の大まかな流れを理解したいと考え、 細かい部分は省略した、簡単なボックスモデルを作成した。 簡単なモデルを用いることによって、例えば、IPCCレポートにあるような 温暖化シナリオ(A1、B2等)だけでなく、極端な気候変化(急にpCO2が倍になっ たケースや急に温度が5度上がるケースなど)に対する海洋生態系・ 陸上植生の応答を見ることができたり、または二酸化炭素を海洋深層に隔離した場 合の大気pCO2分圧に対する影響を見積もることが出来ると予想される。 現在のモデルは、大気3ボックス、海洋5ボックス、陸上3*3ボックスの 計17ボックスである。それぞれについて炭素循環と酸素循環、および 放射強制力から求めた温度の経験的関係式 [Hooss et al., 1999, Hooss et al., 2001]を表現した。このモデルは、物質循環の回転速度などを過去の研 究結果と合わせるようにチューニングしたが、基本的に地球システム統合モデ ルで扱っている問題を扱うことが出来る。今後は炭素同位体比(δ13C)につい ても表現する予定である。 作成したモデルを用いて人為起源炭素の排出による気候変動に伴う、 陸上・海洋生態系変動に対する大気中濃度の応答を示し、海洋と陸上生態系へ の炭素フラックスを見積もった。また、大気-海洋-陸上植生における大気中二 酸化炭素、酸素濃度との関係(Keeling plot)を調べた。今回は作成したモデル の構成と、そのモデルを用いて1800年から2100年まで計算した結果について説 明する。
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