****************************************************************************************************************
第 180 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2005年 11月 14日(月) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 2階 講堂
発表者:甲斐 浩平 (大循環力学講座 M2)
題 目:夏期黒潮続流域の海面水温フロントによる大気下層の変質
****************************************************************************************************************
夏期黒潮続流域の海面水温フロントによる大気下層の変質 (甲斐 浩平) 発表要旨 :
Kondo(1976)は冬季東シナ海における気団変質観測(AMTEX)の船舶観測データを用 いて、中国大陸から移動してきた冷たく乾いた大気の下層が黒潮の高海面水温 (SST)の影響を受けて、暖かく湿った状態に変質し、風速の鉛直勾配が小さくな ることを示した。また、Tokinaga(2005)は冬季の黒潮続流域におけるラジオゾン デ観測で得られた高解像度データから、暖水域上(冷水域上)では風速の鉛直勾配 が小さくなっている(大きくなっている)ことを示した。これら海面水温が海上 気温に比べて高い冬季の黒潮及び黒潮続流域における観測は、大気下層が海面水 温の影響を受け、温かい(冷たい)海面水温上では混合層が発達し(発達せず)、 運動量が鉛直に混合されやすい(混合されにくい)事を示唆している。 しかしながら、冬季とは異なり海面水温と海上気温が同程度の梅雨期における黒 潮続流域の大気下層の観測例は少なく、海面水温に対する大気の変質の様子がよ くわかっていない。梅雨期には、梅雨前線を伴う異なる2つの気団の境界が南北 に移動し、性質の異なる2つの空気塊が黒潮続流域上に交互に流入する。これ ら、性質の異なる2つの気団によって、SSTの影響を受け大気下層が変質する様 子が異なると考えられる。 そこで、本研究ではKESS 2005/ATMOSPHERIC SOUNDINGS で得られた高解像度のラ ジオゾンデデータを用いて、梅雨期の黒潮及びその続流域のSSTフロント上にお ける下層大気の変質を考える。今回の発表では温かく湿った空気塊と冷たく乾燥 した空気塊が流入した場合でそれぞれコンポジット平均をとり、風速の鉛直分 布・下層雲形成のプロセス等に注目し下層大気の変質を考察する。
-----
連絡先