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第 175 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2005年 10月 25日(火) 午後 17:00 〜 19:00
場 所:地球環境科学研究科 2階 講堂

発表者:齋藤 紋子 (気候モデリング講座 M2)
題 目:亜熱帯域におけるロスビー波活動に伴う成層圏対流圏大気交換過程

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亜熱帯域におけるロスビー波活動に伴う成層圏対流圏大気交換過程 (齋藤 紋子) 発表要旨 :

 成層圏対流圏大気交換過程(STE)は、成層圏と対流圏の物質収支に大きな 
 影響を与えており、従って、地球の気候形成の重要な要素のひとつである。 
 これまで長い間、熱帯において対流圏大気が成層圏に入り、中高緯度において 
 成層圏大気が対流圏に入っていると考えられてきた。 
 しかし、最近、対流圏界面が南北に大きな傾斜を持っている亜熱帯領域で、 
 等温位面に沿った準水平移流の形で活発にSTEが生じていることが指摘され 
 ている。 
  
 Appenzeller (1996)、Dethof (1999)は、それぞれ中緯度、亜熱帯で 
 STEが起きている事例について、PV分布を移流させる手法を用いて、 
 客観解析データのPV分布から高空間分解能の情報を引き出し、 
 STEを引き起こす擾乱の詳細な構造を明らかにした。 
 また、Postel and Hitchman (1999)は、1986-1995年の客観解析データ 
 を用いて、亜熱帯域でSTEを起こす可能性のあるRossby Wave Breaking 
 (RWB)の頻度を350K等温位面のPV分布に基づいて統計的に調べた。 
 RWBは両半球ともに夏の海洋上で多く、亜熱帯高気圧に関連して起きている 
 ことが示された。 
  
 先行研究は、事例解析や10年程度のデータを用いた研究に限られており、 
 また冬のSTEについては頻度が少ないとして無視する傾向にあった。 
 そこで本研究では、ERA40の1962-2001年の40年間のデータを用いて、 
 亜熱帯域における全季節・全経度帯のSTEの頻度、その経年変動、 
 そしてSTEを引き起こす擾乱の詳細な時空間構造を調べる。 
 今回の発表では亜熱帯上空の350K等温位面における日々のPV分布の変動 
 の特徴と、PVの1ヶ月平均からの標準偏差によって、擾乱の活動度を示す。 
 さらに、Postel and Hitchman (1999)と同じ条件を用いて、40年間に 
 渡ってRWBの頻度を見積もり、RWB活動の経年変動の様子も示す。 
  
 夏については、今のところPostel and Hitchman (1999)をほぼ追認 
 する結果が得られている。一方、冬の北半球については、 
 ヨーロッパからアメリカにかけての領域においてはRWBが見られるが、 
 PVの南北傾度の非常に大きい東アジア付近(130°E-170°E)では、 
 40年間に1度もRWBがカウントされず、RWBが起きにくい場所であることが 
 分かった。 
  
 今後は、RWBがどれだけSTEに貢献しているか調べる必要がある。 
 また、STEの詳細な構造の典型例を示すため、先行研究と同様のPV移流法 
 を用いたいと思う。 
  

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連絡先

古関 @北海道大学大学院環境科学院
地球圏科学専攻 / 大気海洋物理学・気候力学コース
mail-to:k-shunya@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2372