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第 165 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2004年 11月9日(火) 午後 16:30 - 18:30
場 所:地球環境科学研究科 C104
発表者:稲垣 一穂 (地球環境科学研究科 気候モデリング講座 修士2年)
題 目:陸棚域における二酸化炭素吸収について
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陸棚域における二酸化炭素吸収について (稲垣 一穂) 発表要旨 :
産業革命から我々人間は環境を汚染し、そのつけが現在色々な環境問題として 将来、人類の生存をおびやかしうるものとなっている。その一つに地球温暖化 がある。温暖化の原因は大気中の二酸化炭素濃度の増加である。そこで最近、 二酸化炭素を地中や海底に隔離という西洋的なプロジェクトが行われている。 しかしながら、二酸化炭素などを人工的に完全に隔離することが可能であるの か、またその安全性はどうなのであろうかという疑問が生じる。もしも隔離し た二酸化炭素が何かの拍子にもれると、その周辺の生態系が死滅してしまうと いう危険性を孕んでいるからである。このように危険性を孕んでいる人工的隔 離ではなく、東洋的に自然界に吸収させる方法が必要となる。しかしながら、 IGBP Science No.2によると自然界の物質循環はまだ十分に研究されていない。 その一つが陸棚域の物質循環があげられる。 陸棚域の研究は、観測値と質量保存式から導出した物質輸送量のみつもり (Chen et al., 2004) や、物理-生態系モデルから物質循環(Roger et al.,2003)の考察等が行われてきた。これらは個々の地域を想定したものであ り、もっと基本的な研究を行う必要がある。 そこで本研究では、流れの二次元構造に注目し理想的な状態での物質輸送を考 察する。使用するモデルは、陸棚-外洋の鉛直二次元物理モデル(Ikeda,1986) と海洋生態系ボックスモデル(Kawamiya,1995)である。物理モデルは、二次元 構造(風成循環と密度流)を再現するモデルであり、強制力を風応力、密度flux である。生態系モデルは植物プランクトン、動物プランクトン、NO3、NH4、 PON、DONから構成されており、それに海面照度と水温、混合層の深さから季節 性を再現できるものである。 物理モデルの各パラメータ、各設定条件の感度実験を行った。それから密度流 の強度は地形の傾斜に強くなることを確認し、また風速10m/s、周期1weekとす る風成循環は密度流に比べ陸棚から外洋への流量が高いことも確認できた。ま た生態系ボックスモデルにおいては、季節変動を再現することができた。次に 生物生産により固定した沈降粒子(PON)が冬季にのみ外洋に輸送されると仮定 をして、生態系モデルの結果と組合せ、密度流による輸送量を見積もる実験を トレーサー法を用いて行っている。 今度の方針としては、生物モデルでの季節変化から得られた沈降粒子から物質 循環の季節性をみつもり、輸送を効率的に行う物理的条件を考察する。また、 いくつかの代表的な海域を想定した実験を行う。そして最終的には生態系モデ ルと物理モデルのカップリングにより相互作用に伴う効率的な物質循環の環境 について考察したいと考えている。
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