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第 159 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2004年 11月1日(月) 午後 16:30 - 18:30
場 所:地球環境科学研究科 講堂
発表者:中川 憲一 (地球環境科学研究科 気候モデリング講座 修士2年)
題 目:成層圏突然昇温が対流圏に与える影響について
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成層圏突然昇温が対流圏に与える影響について (中川 憲一) 発表要旨 :
冬期北半球成層圏における最も劇的な変動現象として、成層圏突然昇温(SSW) が挙げられる。この現象は冬期成層圏の極域温度が約1週間で数十度上昇する というもので、歴史的には1952年2月下旬にドイツのベルリンで初めて観測さ れ、1960年代にはこの"昇温"現象を問題の中心とした研究がなされた。この成 層圏突然昇温の成因については、Matuno(1971)により示された。それは、対流 圏で急速に増幅されたプラネタリー波が鉛直上向きに伝播し、その波の作用に より極夜西風ジェットが減速する。それと対応するように、温度風の関係を保 つように極域では断熱下降という形で昇温するというものである。つまり、こ の"昇温"現象の本質は温度の上昇、というよりむしろ極夜ジェットの減速また は反転にあることを示している。突然昇温の定義としては、約1週間で極域温 度が数十度上昇した事例のことで、特に10hPa,北緯60度における平均東西流が 東風に反転した事例を大昇温と呼ぶ。 そして、中期及び長期的な予報精度の向上という観点から見ると、この劇的な 現象と対流圏との関係を調べることは重要であると考える。Baldwin and Dunkerton(1999,2001)は、統計的解析を用い、極夜ジェットの強弱に対応する 北極振動(以下AOと略)の正負のシグナルが、上部成層圏から対流圏まで数週間 のタイムラグを経て下方伝播することを示している。突然昇温発現時は極夜 ジェットは減速することから、負のAOシグナルと対応し、下方伝播のタイムラ グを利用することで予報に役立つことが期待されるが、シグナルの伝播メカニ ズムやその力学も明らかにされていない。 そこで本研究では、先ず突然昇温発現時に対流圏に与える影響の有無について、 統計的手法を用いて解析する。今回は、突然昇温事例を抽出、コンポジット解 析し、それを影響の有無で2つに分離することで両者の差を明瞭にし、その違 いなどを紹介する。
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