****************************************************************************************************************
第 133 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2002年 6月 10日(月) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 C棟 C104
発表者:植竹 哲平 (茨城大より委託 D3)
題 目:赤道成層圏準2年周期振動におけるオゾ
ンフィードバック効果
-大気大循環モデルを用いた解析-
****************************************************************************************************************
赤道成層圏準2年周期振動におけるオゾンフィードバック効果 -大気大循環モデルを用いた解析- (植竹 哲平) 発表要旨 :
熱帯成層圏における経年変動は東西風などの力学変数をはじめとして、オゾンなど の大気微量成分にも準2年周期振動(QBO)が卓越していることが知られている。 東西風QBOは、鉛直上方へ伝播する重力波や赤道波と平均流との相互作用により 駆動されると考えられている。 大気微量成分のQBOについては衛星観測から得られたその等値線の変形や ゾンデ観測によるオゾンの鉛直分布から光化学的寿命の長い物質は東西風QBOに 伴う温度偏差により駆動される2次的平均子午面循環による鉛直移流効果が重要で あると考えられている。 しかしながら、この枠組みの中で予想される東西風-オゾンQBOの位相関係は 観測とは整合的でない。 そこでHasebe(1994)では Ling and London(1986)に基づいたメカニスティックモデルで 実験を行い、下部成層圏において観測されるQBOの位相関係を説明するには オゾン擾乱の太陽放射吸収を通して引き起こされた非断熱加熱QBOが2次的平均 子午面循環の減衰を通してオゾンQBOに影響を与えるオゾンフィードバックが重要で あると結論づけている。 そこで本研究では現実大気に近いQBOをモデル内部で再現することに成功している 大気大循環モデル(CCSR/NIES AGCM)を用い、QBOが力学に支配されている下部成層圏に おけるオゾンQBOの駆動メカニズムとHasebe(1994)で指摘されたオゾンフィードバック の力学効果を吟味した。 その結果、1)オゾンQBOの位相決定に対して波によるオゾン輸送の寄与が重要である こと、2)長波・短波放射による非断熱加熱を鉛直流に変換し、それらによる帯状 運動量の鉛直輸送を比較したところ、QBO成分について短波放射による輸送は長波 放射によるそれの約1/3程度をになうこと、が明らかとなった。
-----
連絡先