****************************************************************************************************************
第 127 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2001年 11月 27日(火) 午後 17:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 C棟 C104
発表者:鈴木 順子 (気候モデリング講座 M2)
題 目:対流圏界面付近にみられるケルビン波について
****************************************************************************************************************
対流圏界面付近にみられるケルビン波について (鈴木 順子) 発表要旨 :
これまで、準二年周期振動のメカニズムを理解するために、主として成層圏 におけるケルビン波に関する研究が行われてきた。一方最近、Fujiwara et al.[1998]はオゾン分布に関する解析から、赤道域の対流圏界面付近にみられ るケルビン波によって、成層圏と対流圏の間で物質混合がおこりうることを示し た。しかし、この対流圏界面付近のケルビン波については、その時間・空間的な構 造はまだよく分かっていない。 Wheeler et al.[2000]は、OLRデータを赤道対称成分と反対称成分に分けて時 空間スペクトル解析を行い、その結果とケルビン波の分散関係式に基づいてケル ビン波の波数・周波数を定義した。またこの波数・周波数帯の成分を逆に合成す ることによって、時系列データを作成し、OLRと力学場にみられるケルビン波の 特徴を調べている。その結果、対流圏界面付近(100hPa)の温度場では、振幅の大 きいケルビン波が存在していることが分かった。 そこで本研究では、NOAAのOLRデータおよびECMWF客観解析データを用いて、対 流圏界面付近におけるケルビン波がどのような波数・周期性をもつのかを理解 するために、時空間スペクトル解析をおこなった。その結果、OLRを用いた解 析では、WHeeler et al.[2000]で示されたのと同様な位置にピークをもつ図が えられた。このOLR場でのケルビン波は、波数1〜14、周波数0.03〜0.4[1/day] の枠内にあると考えることができる。しかし、100hPaの温度場で行った解析で は、波数1〜7、周波数0.03〜0.32とOLRとは異なった位置にケルビン波と思わ れるピークがみられた。 この結果をもとに、力学場についての時系列データを作成した。水平構造、経 度・高度断面などについて現在解析をおこなっている。また、それらの季節性 についても論議する。
-----
連絡先