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第 117 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2001年 10月 22日(月) 午後 17:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 C棟 C104
発表者:遊佐 稔 (大循環力学講座 M2)
題 目:SST アノマリの年々変動と再帰過程との関連性
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SST アノマリの年々変動と再帰過程との関連性 (遊佐 稔) 発表要旨 :
海洋表面場において同符号の水温アノマリが持続しやすいことが報告されて いる (e.g., Nitta and Yamada 1989; Watanabe and Kimoto 2000). Namais and Born(1970, 1974) は中緯度においてある年の冬の SST アノマリが次の夏 の SST アノマリとは無相関であるが, 次の年の冬の SST アノマリとは有意な 正の相関であることを指摘した. Namais and Born はこの観測事実を鉛直 1 次元的に以下のように説明した: 1, ある年の冬, SST アノマリが深く発達した混合層に広がる. 2, 次の夏, 混合層は浅くなり混合層下の水温躍層の水温アノマリは海面か らの影響を受けず, 水温アノマリが保存される. 3, 翌年の冬, 混合層発達に伴い前年の冬の水温アノマリが水温躍層から混 合層に取り込まれ, 前年の水温アノマリが混合層全体に広がり同符号の SST アノマリが再帰される. Alexander et al.(1999) 海洋表層データを用いて, また Watanabe and Kimoto(2000) は海洋表層データと鉛直 1 次元混合層モデルを用いて SST ア ノマリの再帰過程を示唆した. 混合層深度と SST アノマリとの積で表される混合層内の貯熱量という観点で は SST アノマリが負の場合の方が正の場合に比べて貯熱量の絶対値は大きい と考えられる. この混合層内の貯熱量という観点で SST アノマリの持続性に ついて解析を行う.
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