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第 82 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2000年 9月 20日(水) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 C棟 C104
発表者:小島 至 (気候モデリング講座 M2)
題 目:気候変動における太陽活動の影響
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気候変動における太陽活動の影響 (小島 至) 発表要旨 :
太陽のような星は、その進化とともに表面で解放される全エネルギー量が変化して いくことが理論的に予測されている。これは古くは太陽表面上の黒点数の観測から も示唆されてきたことで、また最近の人工衛星による観測によっても明白である。 これらの観測結果や、太陽活動の指標となるice coreに含まれる放射性同位対の量 の変動などから、太陽光度は数十年から数百年までの様々な時間のオーダーで変動 を繰り返していることが分かってきている。さらに人工衛星から行われた最近の観 測によると、放射強度そのものは全体としては11年周期で0.1%程度しか変化しない が、紫外線やX線を含む不可視光線領域における変化は可視光線領域にくらべて100 倍以上も大きい。このような放射エネルギーの変化は長い時間スケールではより大 きく変化すると推測され、地球全体の表面温度を変化させて気候の変動をもたらし 、オゾン層を変化させたりする要因になり得る。 また、気候も様々なタイムスケールで変動を繰り返しており、太陽活動の変動との 関連性についての研究したもののなかには、近年の温暖化への太陽活動の寄与を指 摘するものもあり、ヨーロッパを中心とした17世紀の"小氷期"最寒冷期はマウンダ ー極小期と呼ばれる太陽活動が低下したとされる時期と一致している。またこの時 期は現在のような人為的温室効果がほとんでなかった時代であり、太陽活動と気候 変動の関連性を考える上で都合が良いと思われる。 そこで本研究では特にこの時期に注目し、気候変動における太陽活動の影響を見積 もることを目的としている。今回の発表では太陽活動による大気組成の変化が及ぼ す影響を調べる意味で、異なるオゾン濃度で行ったモデル実験の結果を示す。
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