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第 73 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2000年 7月 3日(月) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 管理棟 2F 講堂

発表者:谷口 博 (気候モデリング講座 D3)
題 目:慣性不安定モードの Lamb パラメータ依存性

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慣性不安定モードの Lamb パラメータ依存性 (谷口 博) 発表要旨 :

 赤道域上部成層圏では, 東西非一様な構造を持つ慣性不安定擾乱が存在する 
 (Hitchman et al.(1987) ; Hayashi et al.(1998) ; Smith and Riese(1999)).  
 一方, 金星や木星など他の惑星でも慣性不安定の存在が示唆されており  
 (Allison et al.,1994), 全球にわたる慣性不安定の影響が東西風の維持形成 
 に関わっているという議論がある(Allison et al.,1995). 
  
 慣性不安定に関するこれまでの理論的考察では, Stevens(1983)による東西一 
 様擾乱を扱ったもの, Dunkerton(1983)による東西非一様擾乱を扱ったもの,  
 東西一様, 非一様擾乱について, 回転と鉛直構造の効果を調べたもの(谷口,  
 石渡,1999)等がある(いずれも東西一様基本場). 
  
 しかし, Dunkerton(1983) らが指摘した東西非一様擾乱をそもそも慣性不安定 
 擾乱と見なして良いかは, 明らかではない. さらに, 非一様擾乱まで含めて考 
 えた場合に不安定となる条件はこれまで示されておらず, 東西一様擾乱と非一 
 様擾乱のどちらが卓越するかといった問題は未解決である.  
  
 そこで本研究では慣性不安定モードの物理的解釈をすすめるため, 線形シアー 
 流を基本場とする線形安定解析により赤道β平面に於ける不安定モードの解析 
 を行っている. その結果 Lamb パラメータが 16 以上で慣性不安定モードが存 
 在し, 16 以下では純粋な慣性不安定とは異なる構造の不安定モードが存在す 
 ることが明らかになった.  
  
 今回の発表では上記で指摘した問題点について, 未だ答えることが出来ない. 
 Satomura(1981a)のエネルギー解析の手法を用いて, どのようなエネルギーに 
 よって不安定波のエネルギーが供給されているかを調べることが当面の課題で 
 ある. 
  

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連絡先

稲津 將 / 西浜 洋介 @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻大循環力学 / 気候モデリング講座
mail-to:inaz@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2298