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第 68 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2000年 4月 17日(月) 午後 17:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 管理棟 2F 講堂

発表者:江川 晋子 (気候モデリング講座 M2)
題 目:論文紹介「Influence of Sea Surface Temperature and Ground Wetness on Asian Summer Monsoon」

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論文紹介「Influence of Sea Surface Temperature and Ground Wetness on Asian Summer Monsoon」 (江川 晋子) 発表要旨 :

   アジアの夏季モンスーンにおけるSSTおよび土壌水分(GW)の 
 影響を理解するために、一般的な循環モデルを用いた実験を行なった。 
 SSTとGWの影響力に対するモンスーンの応答の主要な特徴と、 
 モンスーン変動に寄与するそれぞれのforcing機能の相対的な 
 重要性を明らかにすることを目的とする。 
   モンスーンの年々変動に対する影響力は、GWアノマリに比べ、 
 basin-scaleのSSTアノマリの方が強いということが示された。 
 モンスーンに対するSSTアノマリの影響は、warmイベント及び 
 coldイベントに関して非線形なようである。モンスーンはwarmイベント 
 時に弱まるが、coldイベント時にはあまりはっきり変化しない。 
 SSTが高いとき、モンスーン循環は弱くなり、同時に 
 広範囲に渡って、水蒸気の収束及び降水が減少している。 
   また、前の寒季にアジア大陸の地表面が湿っていると、 
 夏季モンスーンは比較的弱くなる。先行する地表過程は主として 
 モンスーン初期に影響を与える。SSTが高いとき、アジア大陸では 
 湿潤で冷たい状態となる。陸-海の熱コントラストを弱めると、 
 高いSSTによって初期に引き起こされた弱いモンスーン循環が 
 さらに弱まる。これらの相互作用する効果は、次の夏季モンスーンに 
 ついての重要な先行シグナルである、亜熱帯アジア上の 
 冬・春における偏西風変動の原因にもなっている。 
   この研究は1979-88年についてのものであるから、さらなる研究が 
 必要である。 
  
Song Yang and K.-M.Lau
[Journal of Climate,Vol.11,No.12,3230-46,December 1998] 

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連絡先

稲津 將 / 西浜 洋介 @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻大循環 / 気候モデリング講座
mail-to:inaz@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2298