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第 66 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2000年 4月 11日(月) 午後 14:00 〜 15:30
場 所:地球環境科学研究科 A棟 803A
発表者:内藤 陽子 (京都大学大学院理学研究科助手)
題 目:成層圏循環の年々変動に及ぼす赤道QBOの影響
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成層圏循環の年々変動に及ぼす赤道QBOの影響 (内藤 陽子) 発表要旨 :
私の修士論文・博士論文の内容を紹介します. 北半球と南半球の中高緯度成層圏循環の年々変動について, 赤道準2年周期振動(QBO)や太陽活動との関係という観点で 統計解析を行なってきました. 修士では, 北半球冬期成層圏循環の年々変動と赤道QBO・ 太陽活動との関係について調べました. Holton and Tan (1980) の解析で, QBOと極域の成層圏循環 との関係に見られた傾向は, 太陽活動極小期グループには より明瞭に現れ, 極大期グループには見られませんでした. このことは, 彼らの解析期間に極小期は二回含まれていたが 極大期は一回しか含まれていなかったからだと説明できます. 初冬には極大期と極小期の違いはほとんど見られないため, 成層圏中高緯度循環は, 赤道QBOの影響は初冬から受けるが, 太陽活動の影響は晩冬になってから受けると示唆されます. 博士では南半球に目を向け, 太陽活動はさておき, 南半球成層圏循環の年々変動と赤道QBOとの関係を調べました. コンポジット解析の結果, Eの年の方が極夜ジェットは弱く, EPフラックス収束は大きく, 対流圏から成層圏への波伝播も 大きく, 対流圏での赤道向き伝播は小さい, という傾向が 得られました. 再び北半球に目を戻して同様のコンポジット解析を行なっても, 結果は似ていなかったことから, 南北両半球成層圏に見られる 赤道QBOの影響の現れ方の違いには対流圏循環が一役買っている 可能性が示唆されます.
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