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第 44 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:1999年 10月 13日(水) 午後 4:30 〜 6:30
場 所:地球環境科学研究科 A棟 803A

発表者:下田 啓 (気候モデリング講座 M2)
題 目:天候レジームに対する力学的解釈

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天候レジームに対する力学的解釈 (下田 啓) 発表要旨 :

 大気の季節内長期変動には、PNAなどの特徴的なパターンを示す天候レジームが存在する 
 。天候レジームの力学については解明されていないが、大気に内在する励起されやすい 
 固有のモードが現れているとする解釈が有力である。 
  
 今回の発表ではまず、大気の固有モードに着目した次のような研究を紹介する。 
 Branstator(1985)は、東部太平洋に定常なSSTアノマリーを与えた場合のGCMの応答を 
 解釈するため、時間平均場(300hpa流線関数)のまわりで線形化した順圧渦度方程式に 
 ついて固有値解析を行った。その結果、固有値の絶対値が最小のモードが、GCMにおける 
 応答パターンと一致することが示された。一方、Itoh and Kimoto (1998) は、全球2層 
 モデルで現れる天候レジームについて解析し、モデルから得られるEOF第一モードが主要 
 な天候レジーム間を結ぶベクトルとほぼ一致することを明らかにした。また、時間平均 
 場の回りでモデルを線形化しSVD 解析を行った。その結果、最小の特異値を持つモード 
 がEOF第一モードに一致することを示した。このように、時間平均場の回りでの線形解析 
 は、季節内長周期変動を理解する上で有力な手段と考えられる。 
  
 さらに、レジーム現象を有する最も単純な系である、ロレンツシステムを用いて、これ 
 までの研究結果を検証した結果を示す。まず、EOF 解析を行い、レジームとEOFモードの 
 関連を調べる。さらに、様々な基本場のまわりで線形化した方程式において固有値解析 
 やSVD解析の結果を示し、EOFとSVDの関係について議論する。 
  
  
 次回の発表者  江口 菜穂  (大循環力学講座)  (10/20)  

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連絡先

伊藤 頼 / 谷口 博 @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻大循環 / 気候モデリング講座
mail-to:yori@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2357