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第 34 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:1999年 7月 5日(月) 午後 4:30 〜 6:30
場 所:地球環境科学研究科 管理棟 2F 講堂
発表者:林 寛生 (大循環力学講座 D3)
題 目:観測データを用いた慣性不安定に関する研究
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観測データを用いた慣性不安定に関する研究 (林 寛生) 発表要旨 :
赤道成層圏界面付近(〜 50km)で見られる慣性不安定について, 衛星観測デー タを用いた研究を行なっている. 慣性不安定とは, 角運動量の分布の仕方に関する不安定で, この不安定によっ て南北に強い流れが生じることが知られている. Dunkerton(1981)では, この 不安定による南北流に伴って, 不安定の境界上で温度の極大が鉛直方向に符号 を変えながら連なることが示された. これまでの研究では, 人工衛星 UARS 搭載の CLAES が観測した温度データを 用いて, 赤道成層圏界面付近で観測される特徴的な温度擾乱(温度アノマリの 極大が鉛直方向に連なった構造)について調べ, それが慣性不安定の理論から 予想される構造に一致することを確かめた. また, UKMO(イギリス気象局)から 提供された成層圏解析データより, 実際に場が慣性不安定になっていること, また, 冬半球側のプラネタリー波の breaking に伴って不安定領域が拡大され ていることがわかった. 一方, 慣性不安定に伴う風速場については, 観測ではほとんどわかっていない. もしこの風速場が見積もられれば, 慣性不安定による南北流の強さや不安定と 半年周期振動(SAO)との関係などが調べられるようになることが期待される. 今回の発表は, 前半は修論のお話. 残りは, CLAES の温度データから風速場を 計算しようと試みているお話.
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