第29回 大気海洋物理系 B 棟コロキウムのお知らせ
日 時:1999年 4月 16日(金) 午後 4:30 〜 6:30
場 所:地球環境科学研究科 管理棟 2F 講堂
発表者:稲津 將 (気候モデリング講座 M2)
題 目:理想化境界条件モデルを用いた平均流と渦の形成
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発表要旨:
対流圏の中緯度大気における季節平均場の東西非一様性は、 山岳や加熱分布によって励起された定在性ロスビー波により 生み出されている。実際、山岳と加熱分布による定在長波の 維持は極めて複雑である。海面水温、海氷過程、地表粗度、 地表湿潤度、水文過程など様々な過程が非線型的に時間平均 流にフィードバックする。したがって、山岳過程と非断熱加 熱の効果を完全に分離することは不可能である。
そこで、本研究では、熱帯と中緯度の熱強制力に注目する 数値実験を行い、時間平均場の形成について考察すること にした。具体的には、現実地形モデル、理想化海陸分布モデル、 水球モデルの3種類、14パターンの数値実験を行った。
すると、熱帯の熱強制力が中緯度の時間平均流の東西非一 様性とその定在性の形成に大きな役割を担っていて、海陸 分布や中緯度の海面水温の温度フロントは副次的な役割 を果たしていることがわかった。
さらに、これらの問題に付随して、熱帯の海面水温を 東西非一様に対する熱帯大気の応答の問題、ストーム トラックによる時間平均流の減速の問題、低周波変動が 時間平均流に与える影響に関する問題などについても 時間があれば、議論したい。-----
谷口 博 / 伊藤 頼 @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻気候モデリング講座