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第 18 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウムのお知らせ

日 時:1998年 10月 28日(水) 午後 4:30 〜 6:30
場 所:地球環境科学研究科 A棟 803A

発表者:永倉 真紀 (大循環力学講座 M2)
題 目:thermocline中の惑星波について、p.v.擾乱を与えた場合の計算チェックの結果

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thermocline中の惑星波について、p.v.擾乱を与えた場合の計算チェックの結果 (永倉 真紀) 発表要旨 :

  ある緯度帯で偏西風が強化されたり、海面が冷却される、といった効果は、等  
  密度面(interface)の上下の変動に反映され、亜表層に対し、ポテンシャル渦  
  度のアノマリーを注入することになる。  
    
  このp.v.の擾乱は、海洋循環中を波動(ロスビー波)によって伝播していくと考  
  えられるが、Liu(1998,manuscript)による、2.5層準地衡流モデルの解析から、  
  2つのモードが示唆された。順圧的なモード(N-mode)と、下層のp.v.の傾き(移流)  
  に依存する傾圧的なモード(A-mode)である。  
    
  もし、Deser et.,al(1996)で指摘されている、10〜数10年スケールの気候変動  
  によるcoldアノマリーの水塊の移流が、A-modeの伝播を追跡したものであると  
  すれば、その影響が亜表層を移動し、やがて赤道付近に湧昇するまでのタイム  
  スケールは、thermocline中の移流速度+A-modeの伝播速度で見積もり直す必要  
  があるだろう。  
    
  LPS(Luyten et al.,1983)で説明される定常ventilated thermoclineにおいて、  
  ある空間分布をもった風応力アノマリーを与えて解いた結果、定常状態では、  
  下層において、西向きに伝播するロスビー波のみが励起されている形跡が見ら  
  れた。A-modeは見当たらない。そこで、A-modeは、循環場がspin upしていく  
  過程のなかで、生成・消滅していったものと予想し、線形化したp.vに関する  
  時間発展の中で検出しようと試みる。基本場として、2.5層定常ventilated th  
  ermocline(LPSモデル)を与える。  
    
  今回は、計算チェックとして、初期擾乱としてガウシアンを与えた場合の、ve  
  ntilated region や shadoe zone のある点における基本場を一様に与えた領域  
  での渦の挙動を示す予定。  

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連絡先

岡田直資 / 谷口 博 @北海道大学大学院地球環境科学研究科
大気海洋圏環境科学専攻気候モデリング講座
mail-to:taniro@ees.hokudai.ac.jp / Tel : 011-706-2372