2019年度の修士課程学生受け入れについて

(内部向け募集要項−2019年6月)

藤原正智

受け入れ可能数:
2名

研究活動・興味:

私は大学院生時代の1994年から2013年まで、インドネシアでの
オゾンゾンデ定常観測に継続的に取り組んできました。 観測
データの再処理・品質管理を地道におこなってきていました。
院生時代には、こうして得られたデータにもとづいて、エルニ
ーニョに伴う大森林火災により対流圏オゾンが増大する広域大
気汚染問題、および、赤道ケルビン波という熱帯特有の大気波
動にともなう成層圏オゾンの対流圏への輸送過程について研究
しました。ここから、「熱帯対流圏界面領域の大気科学過程」
と「気候変動の観測」というふたつの大きな研究テーマを得て、
その後発展させてきています。

「熱帯対流圏界面領域の大気科学過程」については、主に
SOWERという日本主導の国際プロジェクトの枠組の中で、オゾ
ン、水蒸気、雲粒子、気温、風、乱流等の現場観測をおこな
いながら、理解を深めてきました。また、様々な全球気候モ
デルも利用してきています。現在は「測定」という地球科学
の原点に立ち返って、水蒸気と雲粒子の新しい測定器の開発
に力を入れています。 熱帯対流圏界面領域は、対流圏の大
気が成層圏へ入る主要なルートであり、成層圏大気の初期条
件を決める大事な領域です。また、熱帯気象学とも密接な関
係をもった領域です。大気科学の全要素(力学、輸送、光化
学、微物理、放射)が絡み合った難しくてとても面白い領域
です。

「気候変動の観測」については、上述した新しい測定器開発
をおこなうとともに、ふたつの国際的な観測ネットワーク
(南半球オゾンゾンデ観測網 SHADOZ、GCOS基準高層観測網
GRUAN)の主要メンバーのひとりとして活動してきています。
上空大気の気候変動を正しく測定することは技術的にも国際
情勢的にも容易なことではなく、世界の多くの人達の献身的
な努力が必要です。また、2013年から、国際的な再解析デー
タ比較プロジェクト「S-RIP」を実施してきています。世
界のいくつかの気象機関が提供している再解析データは、重
要な気候データセットのひとつとして気候変動の理解に広く
利用されていますが、これまで系統だった比較検証はあまり
おこなわれてきていませんでした。S-RIPでは、特に成層圏
の各種過程に関わる診断量を中心として、世界各地の研究者
と再解析センターの人達と共同で比較検証をおこなってきて
います。さらに最近では、エネルギー収支や水循環など、よ
り広い分野をカバーする再解析比較プロジェクト「TIRA」の
中心メンバーのひとりとしても活動しています。

これまでに指導した学生さんの研究テーマ、出版論文(日本
語の解説記事もいくつかあります)などの詳細情報について
は、以下のホームページをご覧ください。
http://wwwoa.ees.hokudai.ac.jp/~fuji/index_jp.html



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