着任挨拶(2003.4)

4月1日付けで、気候モデリング講座の助教授として着任いたしました藤原正
智です。東京大学の地球惑星物理学専攻で博士号を頂いた後、日本学術振興会
特別研究員PDとして、東大に1年、ここ北大地球環境に1年、京都大学宙空電波
科学研究センターに2年在籍しておりました。

大学院進学の際に、まず地球大気を体感するところから始めたいと考え、観
測を精力的に行っていた大気化学・超高層大気物理のグループに弟子入りし、
初めの頃は筑波の水田から発生する温室効果ガス、メタンの測定などをしてい
たこともありましたが、やがてインドネシアでの大気オゾン定常観測に関わる
ことになりました。データのクオリティーコントロール作業(ゴミ取りや整形
等々)にずいぶん時間がかかりましたが、このデータから、大気波動に伴う成
層圏−対流圏大気交換過程、インドネシア大森林火災と大気質変動、などとい
った新しい知見を得ることが出来ました。このプロジェクトから、地球大気そ
して地球大気科学業界に関して多くの本質的なことを学んだのではないかと思
います。

特別研究員となってからは、大循環力学講座の長谷部教授を始めとして国内
外の様々な研究者達と協力しながら熱帯大気の力学、輸送、光化学、放射学等
様々な側面を精力的に研究して来ました。世界各地をずいぶん旅してまわりま
したが、観測およびそのデ−タ解析だけでなく、数値実験(GCM)、測定器改
良などそれぞれの研究テーマの到達段階に応じて必要な手法を選択して来まし
た。特に最近は新しいラジオゾンデ搭載用水蒸気センサ−の能力向上を目指し
てスイスのメ−カ−と密に協力してきています。

これからは、上記のような路線は続けつつ、成層圏−対流圏大気交換過程な
どの幾つかのテ−マについては数値実験によって考察を深める段階へ移行しよ
うと考えています。数値実験の手法についてはまだまだ勉強しなければならな
いことがたくさんありますが、新しい壁を前にしてまた大変わくわくしている
ところです。皆さんと一緒に地球のこと宇宙のことをさらに深く勉強していき
たいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。


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