- 主たる研究対象:
私が大学院に進学したのは、人間活動による地球規模の環境問題としてオゾン層破壊の問題が指摘され始めた頃でした。
観測データに立脚しつつ全球規模でオゾン変動の実態を明らかにすることが、私の研究の始まりでした。
オゾン変動を理解するには、力学・光化学・放射過程に関する総合的知見が必要で、学ぶべき事柄・利用すべき手法は多岐に渡ります。
興味の対象は成層圏から対流圏へと広がり、自らも観測に手を染めるようになりましたが、大気微量成分の全球的変動を気象学的観点から理解しようという姿勢は変わりません。
学生の希望に応えることを通して研究対象を拡大してゆけるのは、大学に在籍する者の特権ですから、必ずしも過去には拘りませんが、現在、力を入れている研究対象は次の通りです。
- 熱帯域におけるオゾン・水蒸気変動の解明:
SOWERと名付けた観測プロジェクトを共同で推進しています。
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極域春季オゾン破壊の大気循環場に対する影響の解析:
オゾンホールが成層圏・対流圏の大気の流れに変化を引き起こしている可能性を考察します。
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人工衛星を用いた大気組成変動の解析:
全球規模の現象を扱うには、人工衛星データは欠かせません。
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大気循環場のラグランジュ的記述:
大気微量成分の変動を理解するために、循環場をラグランジュ的観点から再構築したいと思っています。
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赤道成層圏準2年周期振動におけるオゾンの役割の解明:
力学・光化学・放射の相互作用が本質的に重要な可能性があります。
- 今後発展させたいと考えている分野:
- 大気微量成分の4次元同化法の開発:
世界の趨勢ですが、日本では遅れている分野です。
- エクアドルにおける気象予報システムの開発:
SOWERから派生した仕事です。数値予報は自分の専門ではありませんが、熱帯域の循環の理解に役立てようと思っています。
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