はじめての放射線計測

 1970 年代から、事あるたびに原発は安全だと聞かされてきた。 「炉心溶融など絶対に起こらない。 最悪の場合でも、緊急炉心冷却装置 (ECCS) が最後の砦として働き、原子炉は安全に停止する。」と。 その言葉を 100% 信じる程、素直ではなかったが、その主張を覆すだけの知識を持ち合わせていた訳でもなく、外から見れば、その言葉を信じて原発を容認したのと変わらなかった。
 2011 年 3 月 12 日。驚くべき文字が目に飛び込んできた。 「原子力安全・保安院は、福島第一原発 1 号機で炉心溶融が進んでいる可能性が高いと発表した。」 さらに、新聞記事は「1 号機では、非常用電源の故障のため、緊急炉心冷却システム (ECCS) が働かなくなり、核燃料の過熱を防ぐ手段がなくなっていた。」と続いていた。
 騙されていたことが分かった。 翌日には、「保安院は『国民に不安を与える状況ではない』としている。」という報道。 炉心溶融しているのに不安を与える状況でないとはどういうことか。 報道には明らかに政策的意図が働いていた。 ミリシーベルト、マイクロシーベルトという言葉が飛び交い、環境中の放射線量が上昇していることは明らかだが、ほとんどの場合、「人体に直ちに影響のあるレベルではない」という補足が付く。 反射的に、今度は騙されないぞと身構えてしまう。
 「安全神話」を容認してしまったのは自分の責任だ。 事故が起こってしまった以上、その時代を生きる一人の人間としての責任がある。 正しいと思える判断をし、社会に対して少しでも能動的に生きようとするなら、勉強しないといけない。 そのためには、実際に放射線を自分で測ってみることが一番だ。 その過程で生じた疑問を一つずつ解決することで理解が進む。 それが科学だ。 専門外だからといって尻込みするのはやめよう。
Step By Step

観測された空間線量率と気象条件との対応

阿武隈川河畔にて


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