コリオリ力 (Coriolis Force)
<< 回転系において運動する物体に働く見かけの力 >>
- コリオリ力 (転向力) は、非慣性系の中で最も重要な回転系において、ニュートンの運動の法則が成立するように導入される見かけの力です。
数式による導出だけでなく、物理的な仕組みを感覚的に理解しておくことも必要です。
- 以下では、気象学を学ぼうとする方のために、北極から南極に向けて運動する物体に働くコリオリ力について、ムービーを参照しながら解説します (まだムービーを見てない人はこちら)。
- 左図: 慣性系に固定された座標で運動を記述した場合
物体は自転する地球と無関係に地球表面に沿って真っ直ぐ南下します。
青線で示されたその軌跡が左右に曲がることはありません。
物体の南下に際して、時々刻々その位置を地球上にマークし、それらの点をつなぐと破線のようになります。
- 右図: 回転系に固定された座標で記述した場合
青線は左図の破線をそのまま書き移したものです。
地球上に残されたこの軌跡を下に、ニュートンの運動の法則を用いて、物体に働く力を考察してみましょう。
観測された軌跡は左右に曲がっていますから、地球の自転を認識していない地球上の観測者は、物体に力が働いていると解釈します。
その力を模式的に示すと赤の矢印のようになります。
これがコリオリの力です。
コリオリ力の働く向きは、軌跡の曲がり方から、運動方向に対して北半球では右向き・南半球では左向きであることが分かります。
- コリオリ力は、物体の運動に際して地球の自転が無視できないような時間・空間スケールの現象に対して効果をもちます。
大陸間弾道ミサイルを命中させるにはコリオリ力を考慮しなければなりませんが、コリオリ力のせいでイチローのバックホームがそれることはありません。
遠藤のフリーキックがカーブするのはコリオリ力のためではありません。
しかし、中緯度・高緯度の低気圧・高気圧に伴って吹く風や地球規模の大気の流れ (大気大循環) を理解する上で、コリオリ力は決定的に重要です 。
それは、こうした現象に伴う水平面内の風がコリオリ力と気圧傾度力とのつり合いで近似的に記述できる(地衡風)からです。
- 気象学を志す人は、コリオリ力がどのような数式で表されるかについても勉強して下さい。
解説書はたくさんあります。
「オゾン層破壊の科学」もその一つです。
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Apr. 12, 2010
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