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第 274 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2021/10/12(火) 13:00 -- 14:00

ツール:Zoom

発表者:神田 晴哉

題 目:過去60年間における山陰地方豪雪時の気象場の解析

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過去60年間における山陰地方豪雪時の気象場の解析(神田 晴哉)発表要旨:

  日本の日本海側は世界有数の豪雪地帯であり、平野部の中では世界で
最も低緯度にある積雪地帯である。2020年12月中旬から2021年1月上
旬には、大雪が複数回生じたが、気象庁によるとその要因は、①寒帯前
線ジェット気流、亜熱帯ジェット気流が日本付近で南側に蛇行したこと、
②極渦が分裂し日本の北まで南下してきたこと、の2つである。また、
先行研究によると、フィリピン付近の熱帯西太平洋上の対流活動の活発
化(Ueda et al.,2015)や、シベリア大陸上でブロッキング高気圧の形成
されること(Takaya and Nakamura, 2005)が、日本に寒気移流と降雪
をもたらすことが知られている。しかし、このような低緯度と高緯度両
方の影響を同時に分析した論文は少ない。また、日本海側の降雪の研究
は、北海道や北陸を対象としたものが主であり、山陰地方に着目した研
究は少ない。そこで本研究の最終的な目的は、山陰地方に大雪が降る時
の気象場を、高緯度、低緯度両方の影響を議論することである。
 今回の発表では、まず日本海側全域に目を向け、気象庁の地域気象観
測システムのデータを用いて、各地の降水量、降雪量、最大積雪深など
の経年変化を調べた結果を議論する。Ueda et al.,(2015)では1979-20
11年の約30年間の日本海側の10地点すべての平均積雪深を用いて、多雪
年と少雪年を定義し議論していた。本研究では1961-2019年と期間を約
60年間にのばし、同じように平均積雪深を見てみると、顕著な10年規模
の変動が見えてきて、先行研究の期間設定と多雪年・少雪年の定義が適切
ではない可能性が出てきた。そこで、今回設定した期間内を平均積雪深変
動の特徴から新たに3つの期間に分け、多雪年・少雪年を定義し直した上
で、先行研究と同様に、気温、OLR、流線関数の3要素でコンポジット解
析を行った。今回はその結果について議論する。
    

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北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース D1
太田 聡 (Satoshi Ota)
E-mail:ota_satoshi[at]ees.hokudai.ac.jp
([at]を@に置き変えてください)