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第 259 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2018/10/22(月) 15:00 -- 16:00
場 所:環境科学院 D101

発表者:高田 将仁(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:南極周極流域における中規模渦によるサブダクション強化

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南極周極流域における中規模渦によるサブダクション強化(高田 将仁) 発表要旨 :

 海洋の中規模渦は、西岸境界流や南極周極流のように強い流れが生じている
領域に多く存在する。Xu et al.(2014)では、分解能の異なるモデルのデータを
比較する手法を用い、黒潮続流域での亜熱帯モード水・中央モード水の形成過程で、
中規模渦による海水のサブダクション(沈み込み)強化の影響を定量的に示した。
Xu et al.(2014)では、サブダクション強化が極大となるのは、混合層深度が極大と
なる冬の終わりから春(北半球では3月)に対応すると示している。
加えて、渦によるサブダクション強化をSverdrup流量で評価する際、混合層深度の
時間平均と海面の等密度線の間隔の積からなる項が最も支配的であると示している。
 また、Morrison et al.(2016)では、温暖化時の海洋において、南大洋の
60゜S~50゜Sの領域で他の領域よりも大きな熱吸収が生じており、混合層深度が深い
領域と、貯熱量の高い海水が周囲より深部まで分布している領域とが対応している
ことを示した。Morrison et al.(2016)では、60゜S~50゜Sで熱を吸収した海水が
移流によって北に輸送され、深い混合層深度の分布する40゜S付近でサブダクションが
生じ、その過程の中で中規模渦によるサブダクション強化の影響があると述べている。
 これらを踏まえ、本研究では、南極周極流域の強い流れによって生じる中規模渦が、
サブダクションや混合層、海面熱フラックスなどに与える影響について、分解能の
異なるモデルのデータを比較することで定量的に考察することを目的とする。
用いるデータは、Xu et al.(2014)やMorrison et al.(2016)と同じ
超高解像度海洋大循環モデルOFESの0.1゜×0.1゜格子のデータ(以下OFES-H)に加え、
同じくOFESの0.5゜×0.5゜のデータ(以下OFES-L)を用いる。今回は、OFES-HとOFES-Lの
データから得られた、南極周極流域におけるSSTやSSH、混合層深度などの変数を
比較した結果を述べる。

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
松下 侑未 Matsushita Yumi
E-mail:yumi-matsushita@ees.hokudai.ac.jp