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第 256 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ
日 時:2018/10/18(木) 14:00 -- 15:00
場 所:環境科学院 D101
発表者:樋口 義仁(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:降水タイプ別にみた極端降水強度と地上気温の関係性
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降水タイプ別にみた極端降水強度と地上気温の関係性(樋口 義仁) 発表要旨 :
将来地球温暖化が進んだ場合、日本を含む多くの地域で極端降水強度が増加 することが予測されている(Collins et al., 2013)。理由として、クラウジウス-ク ラペイロンの式(以下CC式)より、気温変化に伴って飽和水蒸気量が増加するこ とから、温暖化が進んだ場合、極端降水強度が増加する可能性が考えられる。 オランダの先行研究によると、10℃以上で、極端降水強度の変化率がCC式よ り求められる飽和水蒸気圧の変化率(以下7% ℃⁻¹)を上回る (Lenderink and van Meijgaard, 2008)。この原因として2つあげられる。1つ目は、降水タイプを対 流性降水と層状性降水に分けた場合、20℃付近で対流性降水の発生率が極大で あり、層状性の発生率は極小となること(Hearter and Berg, 2009)。2つ目は層状 性降水の極端降水強度の変化率は7% ℃⁻¹に近いが、対流性降水の極端降水強度は 10℃以上で7% ℃⁻¹を上回ること(Berg et al., 2013)。これらのことから対流性降 水の影響により、10℃で極端降水強度が7% ℃⁻¹を上回ることが推測できる。日 本でも夏季の15℃以上で、極端降水強度の変化率が7% ℃⁻¹を上回る(内海他, 2011)。 これは、オランダと同様に対流性降水の影響があることが推測できる。しかし、日 本において降水タイプ別に分けて極端降水強度と気温の関係性を調べた研究はない。 そこで、本研究では、日本における気温変化に伴う極端降水強度の変化率が対流性 降水と層状性降水で異なる要因を理解することを目的とする。そのために降水タイ プを対流性降水と層状性降水に分け、日本における極端降水強度と気温の関係性 を調べる。 まず、日本各地の地上観測データ(AMeDAS)を用いて、降水量を観測時間を用い て午前と午後に分けた。そして、午前と午後で観測された1時間降水量を日平均気 温の1℃ごとに分け、1時間降水量の極値(99パーセンタイル値)を計算した。これに より、対流性降水が起きやすい条件(午後)と対流性降水が起きにくい条件(午前)に分 けられる(Misumi, 1999)。その結果、内陸部で、気温が約15℃を超えると、午後の 極端降水強度が午前の極端降水強度を上回る傾向が示された。一方で、沿岸部では、 午前の極端降水強度と午後の極端降水強度に明確な違いはなかった。これらのこと から、1時間降水量の極値は1日の時間帯及び、地理的条件に依存することが考えら れる。
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