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第 247 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2016/10/19(水) 16:00 -- 17:00
場 所:環境科学院 D201

発表者:宮地 友麻(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:太平洋の十年規模変動がインド洋海面水温に与える影響

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太平洋の十年規模変動がインド洋海面水温に与える影響(宮地 友麻) 発表要旨 :

近年観測されている地球温暖化の停滞(ハイエイタス)には、太平洋数十年規模振
動(IPO)による大気から海洋への熱の取り込みが大きく寄与しているということ
が、多くの研究から明らかになってきた(England et al.2014など)。そして、同
時に海洋に取り込まれた熱はインド洋へ移流しているということが、モデル研
究、観測事実から確認されている(Lee et al.2015)。しかし、このインドネシア
通過流による熱移流の変化は、IPOによるものであるのかどうか、そしてその熱
量は海面水温を上昇させ、インド洋周辺の気候に影響を与えうるのかどうか、良
く分かっていない。そもそも、太平洋とインド洋の海盆間相互作用に関して、季
節~年々変動スケールでは多くの研究がされ(Klein et al. 1999など)、ENSOや
IODの関係性など多くの事が分かってきたが、十年~数十年スケールでは、太平
洋とインド洋の気候がそれぞれどのような影響を与え合うのか、未だ明らかにさ
れていない。そこで本研究では、IPOがインド洋の海面水温にどのような影響を
与えるのかを明らかにすることを目的とする。十年規模変動は長い時間スケール
を持つため、変動は海面付近だけでなく、対流圏から亜表層までを含む。そのメ
カニズムを調べるためには、海洋内部に対する広域にわたった解析が必要とな
る。しかし海洋内部での観測は少なく、十年規模変動の解析に必要な観測データ
がそろっていないという問題点がある。その為、本研究では、CMIP5のモデル出
力値を用いて解析を行っている。また、IPOに対するインド洋の海面水温の変化
がどのようなメカニズムによってもたらされたのかを調べる為に、海洋混合層に
おける熱収支解析を行った。 19日の発表では、MIROC5のデータを解析した結
果、考察、今後の展望を述べる予定である。

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
三村 慧 Mimura Satoru
E-mail:s-mimura@ees.hokudai.ac.jp