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第 230 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2014/10/08(水) 15:00 -- 16:00
場 所:環境科学院 D201

発表者:林 歩夢(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:東アジア・北西太平洋における夏の上層渦位と降水の関係性

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東アジア・北西太平洋における夏の上層渦位と降水の関係性(林 歩夢) 発表要旨 :

 本研究では夏季、東アジア・北西太平洋における総観規模の降水に焦点
を当てる。この領域では大陸から東進する非定常なロスビー波の伝播によ
って、対流圏上層において渦位擾乱が起こる(圏界面に相当する1.5 PVU
の等渦位線が変動する)。Horinouchi (2014)は、上層渦位の変動に伴
って水蒸気輸送・上昇流が励起され、上層の等渦位線に沿うようにして降
水帯ができることを示した。また、それと同時にそれらが上層からの強制
によって起こっていることを準地衡の枠組みで示した。東アジア・中緯度
北西太平洋域において、上層の等渦位線に沿って降水帯がみられる。一般
的に、背景風が西風シアである中緯度において、上層に高渦位が存在する
ときには東側(トラフ前方)で上昇流、西側(トラフ後方)で下降流が誘
起される。しかし、高渦位の東側だけでなく西側に当たる領域においても
組織された降水帯が存在している。渦位勾配の向き(渦位偏差に対する東
西の位置関係)によって生じる降水のメカニズムの違いは不明である。本
研究では高渦位の西側(南側も含め)に発生する総観規模の降水の実態と
要因を明らかにするためにデータ解析を行う。
 本研究では渦位勾配の方向と上昇流との関係を調べるために、主にQベク
トルなどに着目して、渦位勾配の方向と鉛直流との関係について見ていく。
Qベクトルの向きや収束などを調べることで、渦位勾配の向きと上昇流との
位置関係や力学的関係性について議論できる。そして上層の渦位変動に対す
る2次循環として、温度場の回転や合流による温度勾配の強化など、どのよ
うに上昇流が誘起されるかを調べた。これらについてまとめたものを発表
する。

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
池川慎一
E-mail:Ishinichi@ees.hokudai.ac.jp