****************************************************************************************************************

第 228 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2014/10/07(火) 15:00 -- 16:00
場 所:環境科学院 D102

発表者:谷平 洋介(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:水温フロントが雲の形成に与える影響及び放射を介した海洋へのフィードバック

****************************************************************************************************************

水温フロントが雲の形成に与える影響及び放射を介した海洋へのフィードバック(谷平 洋介) 発表要旨 :

中緯度海洋が大気に与える影響を考える上で重要となるのが水温フロント
の存在である。水温フロントとは水温勾配が大きい海域のことであり、ガ
ルフストリームや黒潮のように強い流れがある海域に存在する。例えば、
Brachet et al.(2011)ではガルフストリーム域に存在する水温フロン
トの上空において、フロントの北側(冷水側)では海面近くに霧が発生し、
一方フロントの南側(暖水側)では相対的に高い位置に雲が発達することが
数値実験により示されている。また、北太平洋西部に存在する水温フロン
ト上の雲レジームの遷移についても研究されており、Brachet et al.
(2011)の結果と同様に冷水側では海面近くに霧が発生し、暖水側に向かう
につれて雲底高度が上昇するということが観測的にも示されている
(Tokinaga et al., 2009; Tanimoto et al., 2009 )。
 このように、水温フロントが雲の形成に影響を与えるということが先行
研究により示されており、本研究ではここから更に“水温フロントによる
雲の違い”が海洋にもたらすフィードバックに着目し、研究を行なった。
海面近くに霧が出来れば海面が受ける下向き短波放射の減衰率は大きくな
るはずであり、雲底高度が高く(低く)なれば海面が受ける下向き長波放射
は小さくなる(大きくなる)はずである。よって、雲の違いが海洋にもたら
すフィードバックを考える上で重要となる要素は放射であると考え、「放
射」を介した海洋へのフィードバックについて解析した。
 使用するデータとしては2012年7月に行なわれた三隻同時集中観測の際
に観測されたラジオゾンデデータと海上気象要素観測データを中心に解析
を進めており、今回の発表では、北風あるいは南風が卓越したときの水温
フロント上空の雲の発達の違いと、その際に海面が受ける下向き長波放射
の違いについて述べる。

-----
連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
池川慎一
E-mail:Ishinichi@ees.hokudai.ac.jp