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第 225 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2013/10/08(火) 15:00 -- 17:00
場 所:環境科学院 D201

発表者:光岡 昇平(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:台風の季節予報に向けた大気・海洋環境場のデータ解析

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台風の季節予報に向けた大気・海洋環境場のデータ解析 (光岡 昇平) 発表要旨 :


 数ヶ月先における台風の発生場所や発達程度、進路を確率的に予報する「台風の季節予報」が
近年世界的に注目されている。当該予報は従来大気大循環モデルを使用した力学的予報であり、
計算コストが課題であった。そこで、本研究では温暖化予測のためにEmanuel et al. (2004)
が考案した「統計・力学的ダウンスケーリング」の季節予報への適用可能性を調べる。この手法
は大気大循環モデルで計算された環境場の気温や湿度の分布を軸対称モデルに与え、強度は力学
的に予報し、風速データを用いて進路は確率的に予報する手法である。台風は環境場の影響を強
く受けるため、正確な環境場の予報が重要となる。Sato et al. (2011)は、統計力学的ダウン
スケーリングを用いて過去に北西太平洋域で発生した台風を再現し、環境場の情報が正しく与え
られれば北西太平洋域の台風の発生場所、進路を再現できる事を示した。

 本研究の目的は、季節予報を実施する際、環境場の情報として用いる気象庁の1ヶ月予報データ
を解析し、予報データの精度を検証する事である。JRA再解析データを真値として、10日平均した
1ヶ月予報データの精度を統計的に検証した。これまでの解析で、台風の発生に関連のあるGPI
(Genesis Potential Index)の予報精度低下が5月と10月に顕著だということ、GPIの構成要素
(相対湿度、鉛直シアなど)は台風のピークシーズン(6~9月)に精度低下が顕著であることが分か
った。今回はその解析結果について詳しく紹介していく。

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
池川慎一
E-mail:Ishinichi@ees.hokudai.ac.jp