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第 217 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2012/10/23(火) 15:00 -- 17:00
場 所:環境科学院 D201講堂

発表者:谷澤 隼人(大気海洋物理学・気候力学コース M2)
題 目:秋雨期、梅雨期の水輸送

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秋雨期、梅雨期の水輸送 (谷澤 隼人) 発表要旨 :

 日本付近では、梅雨期(6月-7月)とおよそ同程度の降水量が秋雨期(9月-10月)
にもみられる。東日本には梅雨期よりも秋雨期の降水量が多い地域も存在する。
梅雨期に関する研究は、ラージスケールからメソスケールを扱ったものまで数多
く行われてきたのに対し、秋雨期に関する研究はMatsumoto(1988)などがあるが、
梅雨期に比べて非常に少ない。
 そこで本研究では秋雨期の特徴を主に梅雨期と比較することで検討する。再解
析データを用いて、降水帯への水蒸気供給に着目し解析を行った。降水帯へ向か
う水平水蒸気フラックスは、梅雨期は太平洋方面及びインド洋方面からの2つの
経路(Ninomiya and Muraki(1986)など)からで、それに対し秋雨期は、太平洋方
面からの1つの経路(村上ほか(1962)など)からであることが示されている。
 この水平方向の収束だけでは、秋雨期に梅雨期と同程度の降水をもたらすには
水蒸気が不足しているため、秋雨期は降水帯の直下での蒸発量が多いと推測した。
Zhao and McBean(1986)によると、黒潮流域にあたる降水帯直下の領域では、梅
雨期は1年で最も海洋から大気への熱輸送(≒潜熱フラックス≒蒸発)が小さい時期
である。秋雨期は梅雨期の2倍程度であり、秋雨期には水平収束の不足分を降水
帯直下の蒸発でまかないうることが示された。
 さらにそれぞれの時期における降水帯南側から供給される北向き水蒸気フラッ
クスの安定性を解析した。梅雨期と比較して秋雨期は水蒸気が多く輸送されてく
る場合とそれ以外の差が大きく、水蒸気輸送が大きい場合は領域付近に台風が存
在する場合が大多数であることが示された。この結果から、秋雨期において台風
が日本付近に存在する場合とその他を区別してそれぞれ平均を計算した。その結
果、台風が存在する/しないを区別しないで求めた平均で見られた降水帯南側で
の北向き水蒸気フラックスが、台風が存在しない場合の平均では非常に小さいこ
とが示された。
 今後は、水蒸気供給についてさらに検討し、水蒸気以外の視点でも秋雨期の特
徴を解析していきたい。

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連絡先

北海道大学大学院 環境科学院
地球圏科学専攻 大気海洋物理学・気候力学コース
池川慎一
E-mail:Ishinichi@ees.hokudai.ac.jp