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第 181 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2005年 11月 11日(月) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 2階 講堂

発表者:加藤 直 (気候モデリング講座 M2)
題 目:凝結加熱の効果が傾圧不安定に及ぼす影響

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凝結加熱の効果が傾圧不安定に及ぼす影響 (加藤 直) 発表要旨 :

 傾圧不安定の理論的な研究は, これまで主に馴地衡流系でなされてきた. 
 数値予報などではプリミティブ方程式系が使われることが多く,  
 GCMなどのプリミティブ系における傾圧不安定の数値計算もなされてきた. 
 プリミティブ系および凖地衡流系それぞれの2層問題における 
 不安定モードの挙動の違いに関する研究(Fraedrich and Frisius,2002) 
 など, 基礎的な問題も最近になって考察されている. 
 一方, より現実的な大気を念頭におき, 水蒸気の凝結熱の効果が 
 傾圧不安定に及ぼす影響も調べられている. 
 Emanuel et al.(1987)は, 凖地衡流2層モデルの温位の式において 
 上昇流領域のみに凝結加熱項を組み込んだ場合について 
 傾圧不安定モードを求めた. 
 その結果, 凝結熱の効果を入れると成長率は乾燥大気の場合より 
 大きくなり, 飽和大気の場合には2倍以上の値をとることが示された. 
 また, モードの構造に関しては, 凝結熱の効果を入れた場合には 
 上昇流領域の幅は乾燥大気の場合より狭くなり, 上昇流速も 
 大きくなることが示された. さらに, Whitaker and Davis(1993)は, 
 Emanuel et al.(1987) と同様の仮定を用いて, 非線型モデルの 
 数値計算を行っている. 
  
 本研究では, 凝結熱の効果を入れて傾圧不安定の数値計算を行い, 
 その結果の考察をおこなうことをめざす. 
 方程式系としてはプリミティブ系を, 水蒸気の効果に関しては 
 Emanuel et al.(1987) の仮定を用いる予定である. 
 今回の発表では, これら基礎方程式系の検討をした結果を報告する. 
  

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連絡先

古関 俊也 @北海道大学大学院環境科学院
地球圏科学専攻 / 大気海洋物理学・気候力学コース
mail-to:k-shunya@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2372