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第 179 回 大気海洋物理系 B 棟コロキウム のおしらせ

日 時:2005年 11月 7日(月) 午後 16:30 〜 18:30
場 所:地球環境科学研究科 2階 講堂

発表者:林田 健志 (気候モデリング講座 M2)
題 目:プランクトンのグル-プ構成に対する温度依存性の効果

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プランクトンのグル-プ構成に対する温度依存性の効果 (林田 健志) 発表要旨 :

  海洋生態系の低次生産者である植物プランクトンは、大型の珪藻類 
 から、小型の鞭毛藻類、円石藻類まで数多くのグル-プにより構成され 
 ている。植物プランクトンのグル-プ構成は、生物ポンプ(光合成に伴い 
 炭素を表層から深層へ輸送する働き)の効率や高次の動物プランクトン 
 ・魚類への有機物の供給に影響するため、その決定メカニズムを理解す 
 ることは重要である。しかし、グル-プ構成は、光合成(栄養塩・光・ 
 温度に依存)や捕食などの生物的要因と移流、拡散などの物理的要因が 
 複雑に影響し決まっているため不明な点が多い。 
  
  グル-プ構成の決定要因について、これまでは主に栄養塩環境や捕食の 
 状態に注目した研究がなされてきた(Hashioka and Yamanaka (投稿中)、 
 以下HY)。しかし、新たにプランクトングル-プ間の温度依存性の違いが 
 グル-プ構成に与える影響が注目されている。Yoshie et al.(準備中)で 
 は、グル-プ毎に光合成の温度依存性を変えた生態系モデルを開発し、北 
 太平洋の観測定点(A7:亜寒帯, B1:亜熱帯)に適用した。その結果、温度 
 依存性の違いがグル-プ構成の時間的・空間的な変化に重要な影響を与え 
 ることを示唆している。しかし、この実験はボックスモデルで行われた 
 ため、移流の効果や水平的なグル-プ構成について議論されていない。 
  
  そこで本研究ではHYの日本近海三次元生態系モデルを基に、プランク 
 トングル-プの温度依存性の違いを考慮した三次元モデルを開発し、温度 
 依存性の違いがグル-プ構成の水平的な分布に与える影響を明らかにしたい。 
   
  現在は準備段階として、Yoshie et al.(準備中)を基に、より簡略化し 
 たボックスモデルを使い、温度依存性についての基礎的理解を深めている。 
  
  

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連絡先

古関 俊也 @北海道大学大学院環境科学院
地球圏科学専攻 / 大気海洋物理学・気候力学コース
mail-to:k-shunya@ees.hokudai.ac.jp / Tel: 011-706-2372